×

2児の母親タレントが語る「不妊治療」 打ち明けられない苦悩と高額治療費も

2025年2月25日 19:05
2児の母親タレントが語る「不妊治療」 打ち明けられない苦悩と高額治療費も
村上めぐみさん

「4.4組に1組」。これは国内で「不妊治療」を経験しているといわれる夫婦の割合です。そもそも「不妊症」とは「1年以上赤ちゃんを望んでいるのに妊娠できない状態」をいいます。

一般的な不妊治療の流れは「タイミング法」。排卵日を予測してその前後に性交渉を行います。次のステップが「人工授精」。男性から採取した精子を排卵の時期に直接子宮に注入します。そして、体内から採り出した卵子と精子を体外で受精させしばらく培養したあと受精卵を子宮に戻す「体外受精」。

卵子に顕微鏡を使って直接精子を注入して受精させる「顕微授精」があります。期間は人によって異なり、10年近く治療を続ける人もいます。

今回、この「不妊治療」についてお話を伺ったのは、タレントの村上めぐみさんです。2人の子どもの母親となった今、伝えたいこととは。

タレントの村上めぐみさん(35)。27歳で結婚した当初から子どもを望んでいましたが、授かることができませんでした。治療のきっかけとなったのは、不妊の原因を調べるため、婦人科で受けた「血液検査」でした。

■村上めぐみさん
「血液検査で自分が持ってる卵子の数がめちゃめちゃ少ないと。平均の数より4分の1ぐらいしかないって。閉経前の人くらいの数しかないから、急いだ方がいいよって」

29歳から病院に本格的に通い開始した「不妊治療」。1年半にわたる「タイミング法」のほか、3度の人工授精を行いましたが子どもを授からず、精神的に追い込まれていきました。

■村上めぐみさん
「全部のことでくじけてきた。卵もとれないとか卵も育たないとか」

当時、KKTの情報番組「てれビタ」に出演していた村上さん。周囲に不妊治療のことを打ち明けられず、‟終わりの見えない孤独”を感じていました。

■村上めぐみさん
「生放送の合間に薬飲んだりとか。何飲んでんの?みたいな話になって、『ビタミン剤です!』とか言って。そうやってたな。なんだろうね、隠してたよね。別に言っても良かったんだろうけど、可哀想って思われるのが嫌だったのかもしれない」

そんなとき、支えになったのが、夫・翔太さんの存在でした。

■村上めぐみさん
「お薬めっちゃ飲まないといけない。マジで。毎日何錠、何錠って飲まんといかんから忘れる。表つくって丸つけしていた。一言メッセージ聞くようにしてから。旦那も書いてくれていた」

熊本市中央区にある福田病院の佐藤智紀専門医。「不妊治療」は、“夫婦で乗り越えること”が重要だと指摘します。

■福田病院 産婦人科・佐藤智紀専門医
「不妊治療の一番つらいところは、結果が出ないと幸せになれないという部分なので、要はそのゴールを終わりがないゴールを2人で走っていくわけですから、それをどうしても一人で走るというのは、とてもつらいことだと思うので、やはりご夫婦でしっかり同じ目標を持って治療に臨んでいくということが一番重要じゃないか」

一方で、夫婦に重くのしかかったのが、高額な治療費でした。

■村上めぐみさん
「1年間に60万ずつなくなっていってる感じだった。トータルで300万くらいなくなっていた。2人で一生懸命働いてた時期だったから、なんとか頑張ろうっていう感じだったんだけど、無理だよね」

こうした当事者の経済的な負担を軽減しようと、3年前に不妊治療の保険適用が拡大。自治体からの助成金など政策的な後押しは徐々に進んでいます。

熊本県でも来年度の一般会計当初予算案に不妊治療に対する助成など総額約1億5000万円を盛り込むなど、妊娠や出産に対する支援を強化しています。

結婚から約6年。不妊治療の末、3年前、長女・まつりちゃんが生まれました。

■村上めぐみさん
「宝物。超わかりやすく言うとね。ほんとうに」

膨大な時間とお金を費やしてきた不妊治療。村上さんはいま「当事者の心に寄り添う、社会の実現が欠かせない」と感じています。

■村上めぐみさん
「当事者の時はこう隅っこに追いやられてる気持ちだったんだけど、保険適応ももちろんそうだし、会社的にも、そういうのに寛容な世の中にちょっとずつなってきている。すごくチャンスだと思っていて。 だから、もう遠慮なしにみんなとお話したい。背中を押してあげられる存在になりたいなとは思う」

【スタジオ】
(永島由菜キャスター)
村上めぐみさんは今後、SNSで不妊治療の相談に答えるほか、実際に治療中の人たちを集めた相談会を開きたいと話しています。

最終更新日:2025年2月25日 19:05