×

【熊本の若者の聖地】武田真一さんも懐かしい!パルコ跡地に複合ビル開業1年 意外な需要も

2024年4月25日 20:01
【熊本の若者の聖地】武田真一さんも懐かしい!パルコ跡地に複合ビル開業1年 意外な需要も

KKTで月曜から金曜の午前放送「DayDay.」MCで、熊本出身の武田真一さんとリモートで結んでお伝えします。生放送を終えた後に駆けつけて下さいました。元同僚で後輩の東島大デスクとお伝えします。

(東島大デスク)
熊本のランドマークだったパルコ跡地に、新たな複合ビルがオープンして25日で1年です。この場所は熊本県民にはそれぞれの思い出が詰まった場所ですよね、武田さん。

(武田真一さん)
熊本パルコができたのは、私が大学1年生の時。すでに熊本を離れていましたが、帰省するたびに友達との待ち合わせ場所として「パルコ前」を利用していました。当時はバブル。東京や世界の文化がどんどん熊本にも流れてきていました。熊本の街を歩く人はみんなおしゃれで、パルコもできた!という事実が、関東に出ていった私にとっても自慢で心強かったです。閉店した時は感慨深かったけど、生まれ変わってまた新たなランドマークになっているんですよね。

従来の都市型ホテルにはないサービス

(東島デスク)
まず、熊本初の星野リゾート。OMO5熊本という都市型リゾートホテルがオープンしました。

(緒方太郎キャスター)
「都市にあるのにリゾートホテル」という新しいコンセプトのホテルですね。

(東島デスク)
果たして受け入れられるのかという心配もあったんですが、ところがこの1年、よそでは見られなかったある特徴が浮かび上がりました。

1年前のきょう、パルコ跡地にオープンした複合ビル。3階から11階は星野リゾートが運営するホテル「OMO5熊本」。ホテルのスタッフ自ら地元の飲食店やディープな観光スポットを案内する、従来の都市型ホテルにはないサービスを満載し、注目されました。

開業1年を控えた3月からは県民のヒーロー、加藤清正を楽しく学んでもらう企画も始め、チェックアウト後の宿泊客に好評です。
■東京から
「きのう熊本城に行ったんですけど、お話を聞いて、また行ってみようかなと思いました」
■鹿児島から
「熊本の人の加藤清正の呼び方が"せいしょこさん"っていうのは 初めて聞きました」(せいしょこさん=清正公さん)

Qローカルタレントさんかと思いました
■ガイドを務めたホテルスタッフ
「ホテルのスタッフでございます。 いつもはカフェにもいたり、お掃除もしたり、何でもいたします。本当に熊本がより好きになっていただける方が1人でも増えていただけたらなと」

「OMO」ブランドは、「テンション上がる街ナカホテル」を合い言葉に、全国17か所に展開しています。従来のビジネスホテルとはまったく違うスタイルだけに、その経営にも注目が集まっています。

例えば、おととし大阪にオープンした「OMO7大阪」。コロナ禍の影響もあり、開業から1年ほどは稼働させる客室を半分以下に抑えるなど、その土地や事情にあわせた試行錯誤の経営を続けています。

九州初のOMOブランド、さらに熊本県への星野リゾートの進出自体が初めてとあって脚光を浴びたOMO5熊本。その結果は。
■OMO5熊本by星野リゾート 幾竹優士総支配人
「熊本に関しては少なくとも好調だなと思っています」

コロナ禍にもかかわらず、開業直後の去年5月の連休に早くも客室の60%以上が稼働。オープンから3か月後には、全ての客室を稼働させました。その後も客数は好調で、OMO5熊本はこの1年、平均で80%を超える高い客室稼働率を維持しています。

熊本の場合、観光客に加え、ビジネス客も取り込んでいるのが勝因のひとつのようです。
■ビジネス客
「明日、出張でプレゼンがあってそれで来ました。ふだん都内で仕事してるんですけど、ちょっと変わった自然な感じがあって、すっきりした状態で準備できるかなと思って」

一番多かった宿泊客は…熊本県民

さらに、熊本特有の意外な需要もありました。ふつう観光ホテルはよそからのお客を迎える場所のはず……。ところがOMO5熊本の場合、この1年間でいちばん多かった宿泊客は、地元熊本県民の利用だったのです。次が東京、そして東京以外の首都圏と続いています。
■幾竹優士総支配人
「ちょっと私も正直驚いているところです。特に印象的なのが、3世代で実家に戻ってこられて、おじいちゃま、おばあちゃまが、 実家に泊まるのもあれだから、 せっかくだったらOMO5熊本に6人で泊まろうとか、観光だけではなくて特別な日にもご利用いただいているのかなと捉えています」

ホテルのカフェを利用している熊本県民に聞いてみました。
■熊本県民
「一回は来てみたいと思うところではありますよね」「また来よう」

Qこのホテルに宿泊したことは?
■熊本県民
「ないです。近くに住んでいるので宿泊したことはないです」
Q泊まってみたい?
「あります。友達では泊まってる子がいたりして、結構子連れでもいいですよっておすすめされたので、泊まってみたいなと思います」
「すごく素敵な空間なので、以前のパルコよりは全然利用してます。今のこの年代になって子どもを連れてきたりできるので。こういう空間があまり熊本にはないから、僕はすごく心地いいかなと思っています」

(緒方キャスター)
地元の人たちの利用の多さには驚きですね。

(武田さん)
実は私、以前星野リゾートの星野社長に話を聞いた時に全く同じことをおっしゃっていたので、その通りになっていることに驚いています。
コロナ禍は100年に一度のピンチとおっしゃっていた星野社長。ホテル業や観光業再生のカギになるのは、「地域」と強調していらっしゃいました。
地元のお客さん、地元のスタッフ、地元の食や文化をどう生かすかが最も重要で、例えば地元の農作物をスタッフ自らが探してこだわりの料理を提供するなど、埋もれた地元の魅力を徹底的に掘り起こしていくことが大切だと力説されていたんです。

(東島デスク)
そしてもう一つの特徴がこちらです。コロナ禍前の2019年、九州を訪れた外国人を国別で見ると韓国が40%でトップ、次いで中国が32%、台湾が11%と続きます。ところが、OMO5熊本でこの一年の外国人宿泊客の国別データは、トップが台湾からで66%、3分の2を占めるダントツの1位です。そして香港、中国と続きます。

(緒方キャスター)
ここでも台湾の半導体メーカーTSMC進出の影響を感じますね。

(武田さん)
TSMCの誘致に沸いて、海外の人たちのライフスタイルをどう取り込んでいくかということに目が向きがちになると思いますが、改めて熊本の良さをどんどんアピールして喜んでもらうことも大切なんだと思います。

10代中心のパルコから幅広い世代へ

(東島デスク)
さて、次は地下1階から2階にかけての商業施設の変化を見てみます。

■待ち合わせしている人
「HAB@前で友達を待っていました」

パルコ時代から変わらない光景の一方で、パルコが運営するHAB@熊本にはファッションのテナントは一軒もありません。かつて“若者の聖地”と呼ばれ、10代が中心だったパルコは今、幅広い世代にターゲットを広げています。

■パルコソーシャルビジネス開発部 上野一久担当部長
「まず認知を上げることを目標として実施しまして、非常に手応えを感じられる1年となりました」

飲食店を中心に据えたテナントは半数以上が熊本初出店で、"わさもん"心をくすぐります。(わさもん=新しもの好き。熊本の県民性を表している)

海外旅行客の受け入れ再開で、去年の秋からはアジアからの観光客が急増しています。
■香港からの観光客
「日本の方が安いです。30%くらい安い」

この眼鏡店は海外でも店舗を展開していますが、本国で買うより安いと、3割ほどをアジアからの客が占めています。
■オンデーズ 斧田悠花さん
「2本まとめて、3本まとめてご購入いただく方がかなり多い。レンズを変えて欲しいという風にレンズ交換に来られるお客様もいる」

HAB@の大きな特徴は…。
■パルコソーシャルビジネス開発部 上野一久担当部長
「ホテルのお客様が、いろんなシーンでHAB@の施設をご利用いただいている。 館内でお食事をしたり、買い物をして楽しんでいただいております」

星野リゾートとの相乗効果です。

定期的な情報交換でイベントなどを企画

この日、OMO5熊本とHAB@の担当者などが集まる会議が開かれました。定期的に情報交換し、イベントなどの企画につなげています。

その一つが、去年8月。HAB@で地酒を買い、ホテルのテラスで夜の熊本城を眺めながら楽しむというイベントにつながりました。

■ビルの管理会社の担当者
「習い事をされている方とかは発表会とか。発表する場があった方がいいと思うので」
■パルコソーシャルビジネス開発部 上野一久担当部長
「そうしたら、HAB@の2階のポップアップスペースとか、3階のOMO5さんの外の凸凹テラスなんかを使うと連携できていいかもしれない」
■OMO5の担当者
「できたら下通とか上通とかも広がって」
■パルコソーシャルビジネス開発部 上野一久担当部長
「そうですね。街と一緒になったらいいかもしれないですね」

街のにぎわい創出を街のど真ん中から広げたい。2年目の挑戦が始まっています。

(東島デスク)
中心市街地の空洞化が指摘される昨今、熊本のマチはまだまだ現役であって欲しいですね。

(武田さん)
この30年の間に、「街」の中心部が通町筋から熊本駅周辺や桜町周辺に移ってきているようですね。それは仕方のない事かもしれませんが、やはり、通町も頑張ってほしい。江戸時代、武士たちが熊本城に出勤するために通ったメインストリートだったために通町と名付けられた説もあります。城下町熊本のシンボルとしての通町を、そうした歴史のロマンも取り込んで盛り上げてほしいと思います。