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病に負けず 暑さに負けず 熊本城マラソン27.5万人の声援受け1万人以上完走

2024年2月19日 21:31
病に負けず 暑さに負けず 熊本城マラソン27.5万人の声援受け1万人以上完走
熊本城マラソン2024。ことし一番の暑さとなる中、1万4600人あまりが出場しました。沿道から過去最多となる27万人あまりの応援を受けて、ランナーはそれぞれの思いを胸にコースを駆け抜けました。

2月18日午前8時頃。

■ランナー
「目標は完走です。正月に骨折をしてやっと復帰しましたんで頑張りたいと思います」
「自己ベストより自己満足。だから自己満足をどれだけ更新できるか」
「アピールして走ります!」

■倉本彩アナ
「4年ぶりに制限のない熊本城マラソンが戻ってきました。まもなくフルマラソンスタートです」

1万3112人が出場したフルマラソン。午前9時過ぎ、それぞれの42.195キロがスタートしました。その中に…

■横田久世さん
「あ~行ってくる~!行ってくるね~」

今年で3度目のマラソン挑戦となった横田久世さん。6年前に病気で両脚と両手の指を切断しました。
絶望から立ち上がろうと懸命なリハビリを続けた横田さん。支えてくれた人たちに感謝を伝えるため、熊本城マラソンを完走するという目標を見つけました。
(・2020年:21キロでリタイア ・2023年:30キロでリタイア)

■横田久世さん
「みんなで完走するぞ!!絶対完走する~」

3度目の正直でゴールを目指す。毎日のように練習を積み重ね、今年は初めて自分の足に合わせた専用の義足で挑みます。


同時に街なかで行われていたのが、約3.5キロを走る「ファンラン」。思い思いの衣装をまとったランナーたちが、アーケードを盛り上げます。(1464人出場)
猛スピードで駆け抜けていくランナーたちの中に…。

「あ!いた!頑張れ~!」

■阪田祥子さん
「一瞬だったです。(写真)取り損ねました。一生懸命走っていました」

4年前、骨にできる「がん」の一種「骨肉腫」と診断された高校3年の阪田昂希さん。右足の筋肉ごと腫瘍を摘出する手術を受け、一時は立つことさえできなくなりました。それでも慶誠高校に進学し陸上部に入部。“走る喜び”を取り戻そうとリハビリを続け、再びスタートラインに立ちました。

■阪田昂希さん
「楽しんで走っていこうと思います。笑顔でゴール出来たらいいと思っています」

その言葉通り、走ることを楽しむように快走する阪田さん。
病を一切感じさせない走りで、あっという間にゴールの二の丸広場へ。
高校生活のラストを飾る、堂々の走りでゴールしました。

■阪田昂希さん
「楽しかったです」
Q高校3年間のラストラン振り返っていかがですか?
「大半は走れなかったんですけど最後こういう形で楽しく走れたので良かったです」

その頃、フルマラソンのランナーたちは市街地を離れ、南へ。続々と平成大橋を渡ります。
4年ぶりに声を出しての応援が解禁された今大会。心待ちにしていたのは、ランナーだけではありません。

【沿道の応援】27万5880人(過去最多・熊本市発表)

沿道で様々な声援やパフォーマンスがランナーの背中を押します。


コースの各地に設けられた給食ポイントでは、熊本城マラソン名物の「おもてなし」。

■ランナー
「おいしいです」
「うまい!」
「牛乳も美味しい味噌汁のなすびも美味しかったですし記録はどうでも良いです。楽しんで無事完走しますんで!」

義足でゴールを目指す横田久世さんも…。

■横田久世さん
「いや~嬉しいおにぎり!(水飲んで)あー生き返る もうちょい」

順調なペースで進んでいたものの、少しずつ体に溜まっていく疲労と痛みに足を止めてしまいます。それでもここで諦めるわけにはいきません。

ついに見えてきた、30キロ地点。去年リタイアした場所です。

■横田久世さん
「きた~!去年を超えます。新たな歴史に挑みます!」

去年は見ることができなかったゴールを目指します。

そのゴールに最初にたどり着いたのは、八代市出身の古川大晃選手。
2大会連続、4度目の優勝を果たしました。(記録:2時間16分14秒)

42キロを走り終え、次々にゴールするランナーたち。

【フルマラソン完走率:90.22%(1万1,829人)】

■完走したランナー
「自分の記録でいうとベストだった。頑張っている姿、走っているのを見てほしかった。走ることしかできないので」

中には、能登半島地震で被災した石川県輪島市から参加したランナーも。自宅は無事で、道路も通れるようになったため出場を決めたといいます。

■石川・輪島市から参加・高崎文吾さん
「とにかく諦めないでほしい。起こってしまったことはどうにもならないので少しずつ一歩一歩復興に向かって立ち上がっていく。それだけです」

■給水係
「あと少しです!」

支えてくれる人たちのために。そして、自分の限界を乗り越えるために。ラスト2キロを切り、横田さんも最後の力を振り絞ります。

■伴走する男性
「最後の花道です!」

そして、横田久世さん フルマラソン完走!(6時間9分38秒)

■横田久世さん
「最高で~す!」

「一歩一歩」を繰り返して夢を叶えた横田さん。

■横田久世さん
「これで終わることなくこれがスタートなのでみんなに感謝の気持ちをもらったのでまた挑戦し続けます」