「どんな壁でも乗り越えられる」熊本城マラソンで初完走を目指す義足のランナー
■横田久世さん
「私は熊本で生まれ育ったので、熊本を元気にするのがやっぱりスタート」
横田さんを病が襲ったのは約6年前。重い感染症をきっかけに、手足の先から壊死する「電撃性紫斑病」を発症。両脚と両手の指を切断しました。
■横田久世さん
「もう人生終わったなみたいな、 多分、皆さん思うと思うんですけど、私もやっぱり切断した当初は痛みがすごく、自分を絶望感に落としたというか」
現実を受け入れられない日々。そんな中、病院で自分よりももっと苦しい思いをしている人たちの姿を目の当たりにした横田さん。懸命にリハビリに取り組み、1年はかかると言われた義足での歩行は、わずか2か月でできるように。持ち前の明るさも戻ってきました。
マラソンに初挑戦 反対していた娘は
義足になってから2年たった頃には、走れるまでになりました。2人の娘の母親でもある横田さん。「どんな壁でも、笑って進んでいけば必ず乗り越えられる」。そんな姿を見せたいと、新たな目標に掲げたのが、フルマラソンへの出場でした。
■横田久世さん
「マラソンに出ることによって、 私自身が障害者として生きるスタート、そして、家族も『障害者がいる家族』として生きるスタートを目標に掲げて出るって決めたんですよ」
4年前の2020年、猛練習を重ね、初めて熊本城マラソンに挑戦。しかし悪天候で体力を消耗し、21.6キロでリタイヤ。完走はかないませんでしたが、当初、出場に反対していた娘から思わぬ言葉をかけられました。
■横田久世さん
「娘たちもすごく不安だった。学校でいじめられるんじゃないかとなったけれど、友達から『ママ格好いいね』って言われたと言って、泣きながら私に『ママごめんね』って言ってくるんですよ。やっぱり出てよかったなって。そこから私たちのまた新たなスタートが切れました」
おととしの2022年にはホノルルマラソンに挑戦。約10時間半をかけて完走しました。(時間制限なし)
しかし、その2か月後の2度目の熊本城マラソンは、制限時間内に走れず、30キロ地点で惜しくもリタイア。時間制限がある熊本城マラソンでの完走は、簡単なことではありません。
■横田久世さん
「ホノルルマラソンで完走できた自分を過信し過ぎたなって。やっぱこう、人ってなんかこう調子に乗るとやっぱり良くない。それを改めて感じさせられましたね」
自分専用の義足で臨む3回目の挑戦
3回目の挑戦となる今回の熊本城マラソン。これまで使用していたレンタルの競技用の義足ではなく、横田さん専用の義足で初めて臨みます。
■横田久世さん
「先端がめっちゃしびれた感じだから、ここから圧迫されてここにきているのかなって…」
■義足を製作した笹川友彦さん
「締まりすぎているならこれ1枚脱いでみるといいかも」
少しのずれでも大きな痛みを伴う義足。専門家の力も借りながら調整を続けています。
■横田久世さん
「体力的には結構いい感じで来ているなって思ってるんで、あとは調子に乗らないで、ペース配分を間違えずに行ければいいと思ってます」
横田さんにとって熊本城マラソンとは?
■横田久世さん
「私は障害が見えるじゃないですか。だから皆さんに『頑張ってらっしゃいますね』って言ってもらえるんですけど、 世の中には、障害が見えなくて悩んでいる方だったり、障害が見えないことでも戦ってらっしゃる方がたくさんいらっしゃる。私はそういう人たちのためにも、やっぱりエールを送りたい」
完走する姿を通して、多くの人に元気を届けたい。そんな思いを込めて走ります。
■横田久世さん
「みんなで完走するぞ!!絶対完走する~」