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ある日突然「立てなくなった」 骨肉腫の高校生が熊本城マラソンで"恩返し"ランへ

2024年2月14日 19:14
ある日突然「立てなくなった」 骨肉腫の高校生が熊本城マラソンで"恩返し"ランへ

2月18日に行われる熊本城マラソン。今年も多くのランナーが熊本のまちを駆け抜けます。今回はフルマラソンとともに行われる約3.5キロの「ファンラン」に出場予定の骨肉腫と闘う高校生を紹介します。去年は直前の故障で出場できず。今回にかける思いを取材しました。

2月9日。熊本市の白川沿いを走るのは、慶誠高校3年の阪田昂希さんです。

■阪田昂希さん
「足の変化は特になくて、健康というか良好という感じですね」

熊本城マラソンで約3.5キロを走る「ファンラン」に初めて出場します。人一倍の思いの裏には、ある病気との闘いがありました。

4年前に突如襲った病 歩くこともできない状態から…

■阪田昴希さん
「右大腿骨の傍骨性骨肉腫という病気になりまして、骨と筋肉の隙間に悪性の腫瘍ができたんですけど…」

南阿蘇中学校で中距離走者として活躍していた4年前、骨にできる「がん」の一種、骨肉腫と診断された阪田さん。筋肉ごと腫瘍を摘出する手術を受け、立つことさえもできない状態から始めたリハビリ。慶誠高校に進学したのも、「走れなくても携わっていたい」と陸上部に入るためでした。

■慶誠高校陸上部・中村大樹監督
「走れないところからスタートして、歩く所からゆっくりジョグできるようになるまで孤独の中で闘っていたと思うけど、負けない気持ちを持ってストイックにやっているイメージです」

再び走ることができるように。リハビリや練習を重ねる姿を見守ってきた顧問の中村先生。去年の夏、阪田さんに持ちかけたのが、熊本市記録会への出場です。

3年ぶりの「スタートライン」そして次の目標へ

スタンドで待ち受けていたのは「おかえり」と書かれたボードでした。チームメイトの声援を受けながらトラックを駆け抜けた阪田さん。すでに次の目標を決めていました。

■阪田昂希さん
「去年も熊本城マラソンのファンランにエントリーしていたけど、膝に血が溜まって走れなかったので、今年こそリベンジで走って絶対ゴールしようと思います」

あれから5か月…阪田さんは走り続けていました。

■阪田昂希さん
「1か月くらい前に右ひざのじん帯を痛めていると言われたんですけど、走れないことはないと言われたので、良好なコンディションだとは思います」

週2~3回ほど約6キロを走るトレーニング。足の状態は万全ではないものの、熊本城マラソンのファンランに挑みます。

2月12日に開かれたのは、陸上部3年生の送別会。阪田さんも先生や部員たちからねぎらいを受けました。

■陸上部同級生
「別々に練習していたんですけど、一生懸命頑張っていて、周りのサポートだったり気を利かせていてとてもいい選手だったと思います」

■幼稚園からの幼なじみ
「病気になってすぐの時は歩くこともできなかった。陸上に戻ってくるとも思わなかったから、積み重ねて練習してきて3.5キロを走り切れるよう応援しています」

一度はあきらめた“走る喜び”を感じながら、もう一度スタートラインへ。その力強い背中を阪田さんの両親も見守ります。

■父・健一さん
「正直ここまで走れるとは思っていませんでした。びっくりの方が大きいですね」

■母・祥子さん
「みなさんから応援していただいたので幸せ者だなと思います。今回は出て走ってくれることだけを願っています」

強い信念と保護者や仲間の後押しを胸に、高校生活のラストランに挑みます。

■阪田昂希さん
「チームメイトのみんなとか後輩だったり保護者のみなさんだったり感謝を伝えていければいいと思っています」

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