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「授かった声を大事にしたい」難病で声を失う決断した大学生 AIが合成した声で会話するアプリ完成

2024年4月26日 19:06
「授かった声を大事にしたい」難病で声を失う決断した大学生 AIが合成した声で会話するアプリ完成

難病を抱え、生きるために声を失うことを決断した26歳の大学生が、声を失った後も会話ができるよう準備してきた音声アプリが完成しました。

(音声アプリ再生)
「この度は約1年間、このプロジェクトにご協力いただきありがとうございました」

熊本市の大学生、山本栞奈さん(26)。聞こえてくるのは、自分の声ではなくAIが合成した声です。栞奈さんは、全身の筋力が徐々に低下する進行性の難病を抱えています。

時折、呼吸が苦しいときがある栞奈さん。
(去年9月の診察)
■医師
「つばの飲み込みはどう?」
■山本栞奈さん
「呼吸器をつけていたら、だ液が押されてむせる時が増えるようになった」
■医師
「気管切開の話があるんだろうけど、それをいつ頃するかだけどな」

医師からは安定的に気道を確保する気管切開を提案されました。でも、手術をすれば声を失うことになります。まだ手術はしていませんが、病気が進行すると、いつかは手術を受けることになります。

(県聴覚障害者情報提供センター・去年3月)
■担当者
「好きなタイミングで始めて大丈夫です」
(栞奈さんが声を録音)

去年3月、栞奈さんは声が出せなくなった時を考え、自分の声を録音し、AIで合成した自分の声で会話ができるよう準備をしてきました。
■山本栞奈さん
「これを使って、今後声を失う選択した方にこういうものがあるというのを知ってもらいたいのが一番の思い。挑戦すること、自分がやれるうちにやれることをどんどんやってほしいなという思いがある」

自分の声を録音して1年あまり。完成したアプリが栞奈さんの元に届きました。いよいよその瞬間が…。
(アプリの音声)
「私の名前は山本栞奈です。大学4年生になりました」

■山本栞奈さん
「すごく自然じゃないですか」

完成したアプリでは、話したい文字を入力すると、栞奈さんの声で読み上げられます。

■山本栞奈さん
「自分の声が好きというか、親から授かった命と声なので、この一つしかないものを大事にしていきたい。私は話すことと笑うことが取り柄と言っていいくらいなので、辛いこともたくさんあると思うけど、今日より明日、一つでも笑えることができたらいいなと思っています」

いつか声を失っても…。栞奈さんの声は、新たな形でともに歩んでいきます。