【無罪判決取り消し】車に放火した罪に問われた男の裁判 審理やり直し命じる判決
知人の車に放火した罪に問われ、一審で無罪判決を受けた男の裁判で、福岡高裁は7日、一審の無罪判決を取り消し、熊本地裁で審理をやり直すよう命じました。
この裁判は2022年1月、南小国町の作業員・下城昭鷹被告(35)が、宇城市三角町にある車庫で知人の軽トラックに火のついたタバコを投げ入れたとして、建造物等以外放火の罪に問われているものです。
下城被告は警察の調べに容疑を認めましたが、裁判では無罪を主張。熊本地裁は去年12月、「長時間にわたる違法な取り調べが自白に影響した可能性がある」と指摘。自白以外に客観的な証拠はなく、車内の電気系統からの出火や第三者による放火の可能性を否定できないとして、無罪を言い渡しました。
これを受けて検察側が控訴し、火災や事故を専門に扱う調査員の証人尋問を行って電気系統からの出火の可能性はないと反論していました。
7日の判決で福岡高裁の市川太志裁判長は電気系統からの出火を否定。火が出た前後の時間に、現場付近の防犯カメラに下城被告の姿が映っていたことなどから、「被告人以外の第三者が放火した可能性は乏しく、被告人がトラックに火を放った行為は自白を除いても相当程度推認される」と指摘しました。そして、一審判決が「自白の信用性評価を誤り、事実を誤認した疑いがある」と述べ、無罪判決を取り消し、熊本地裁で審理をやり直すよう命じました。
弁護側は上告するかどうか明らかにしていません。