体制見直し指摘も 熊本市職員が生活保護受給者から760万円詐取事件の検証委員会
熊本市職員のケースワーカーが、担当する生活保護受給者から約760万円をだまし取った罪で有罪判決を受けた事件で、再発防止のため設置された検証委員会の会議が22日開かれ、ケースワーカーをめぐる体制の見直しが指摘されました。
この事件は、熊本市南区のケースワーカーとして働いていた女の職員が、生活保護費の返還手続きなどを装い、受給者やその家族から現金約760万円や通帳・印鑑をだまし取ったとして去年、有罪判決を受けたものです。熊本市は去年3月、有識者による検証委員会を設置し、事案の検証や再発防止策の検討を続けてきました。
非公開で行われた22日の委員会では、再発防止策について多くの委員がケースワーカーをめぐる体制を見直す必要性を強調したということです。
■検証委員会・石橋敏郎会長(会議後の記者会見)
「一番大きいのは、熊本市のケース ワーカーの充足率が低すぎる。組織的な対応として体制としてどうだったか、そこを直さない限り、また起きるかもしれない」
また、ケースワーカーのストレスケアや相談体制を充実させる必要がある との意見も出たということです。委員会は2月、報告書を取りまとめ、3月8日に大西市長に提出する予定です。
【スタジオ】
ケースワーカーとは、生活保護受給者が経済的、社会的に自立できるよう支援などの業務にあたる職員です。社会福祉法では、80世帯あたり1人のケースワーカーを配置するのが標準と規定していますが、熊本市は事件当時まで1人のケースワーカーが約110世帯を担当していて、政令指定都市の中でも20都市中19位と最下位に近い状況でした。熊本市は2022年から2023去年にかけて9人を増やし、「101.6世帯に1人」とやや改善したものの、標準の80世帯には届いていません。