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食券からATMまで 20年ぶり新紙幣発行へ対応に追われる事業者たち

2024年6月27日 21:28
食券からATMまで 20年ぶり新紙幣発行へ対応に追われる事業者たち

7月3日に20年ぶりとなる新しい紙幣が発行されます。偽造防止に加え障がい者や外国人などにも優しいユニバーサルデザインの導入が主な目的です。ところがこれに伴って券売機などを扱う飲食店などの事業者は新紙幣発行を目前にして対応に追われています。現状を取材しました。

昼食時に賑わうラーメン店。券売機はあるものの、会計はスタッフがレジで対応します。
こうした券売機が、いま新紙幣発行への対応を迫られています。部品の交換に1台あたり約20万円かかるため、この店ではこれを機に券売機の利用をやめることにしました。さらに…。

■平井友莉アナ
「こちらも切り替えが必要になりますよね」

■ラーメン処天心・内藤心代表
「必要になります」

コロナ禍で客との接触を避けるため2年前に導入した自動販売機では新紙幣は使えませんが…、機械の交換は行わず、新札を使う客には旧札への両替で対応することにしました。
背景にあるのが物価高。この店では食材費や電気・ガス代などが値上がりする中で、3月までランチで提供していたビュッフェを取りやめました。

■ラーメン処天心・内藤心代表
「原材料費高騰、食材費高騰もあるんですけどなかなか値上げというのを私たちはできない。したいんですけどできなくて。ちょっと痛いんですけど補助金関係とか節約しながらいきたいと思います」

一方で、これを機に可能性を広げようというのが、菊陽町の施設です。
この日、新たに設置されたのは、ジムなどの使用料を支払うための券売機。

TSMC進出に伴って外国人の利用が増えていることから、7月から台湾で使われる繁体字を含む4つの言語に対応したものに切り替えます。また10月頃からは中国のQRコード決済なども使用できるキャッシュレスにも対応する予定です。

■券売機などの製造メーカー(グローリー北九州営業所)竹田晴彦所長
「今人手不足やコロナの時期で対面対応を他の方法検討しないといけない。従来入っていなかったところに券売機が入り出しているのがここ数年での特徴。タッチパネルの券売機ということで従来の券売機ではない機能が注目されて台数としては増えている」

これまで使っていた券売機は180万円ほどでしたが、今回は約300万円。国の交付金を活用し、町の負担は半分の150万円程度の予定です。

■光の森町民センター・中村康幸所長
4「実際の費用は確かにかかるとところはあるんですけど少しでも(外国籍の方を含む)町民の方が利用しやすいような環境を町として作っていければと思っています」

20年ぶりとなる紙幣の発行に、多くの事業者が対策を迫られています。

(スタジオ)
県や熊本市などによりますと、新紙幣対応に伴う補助や助成など事業者向けの支援は自治体では設けていません。国による支援はITを活用したものや新規事業者に対する補助などがあるものの限定的です。

券売機の切り替え状況です。自動販売機を製造する企業など全国80社以上が加盟する業界団体が日本自販機工業会の会員から聞き取ったものです。その結果、7月3日時点で対応できる見通しの自動販売機は以下の通りです、

■金融機関のATM…9割以上
■コインパーキングなどの自動精算機…半数程度
■食券など券売機…3~4割
■たばこを含む飲料の自動販売機…2~3割程度 と推計しています。

公共交通機関での支払いにも影響が出そうです。
熊本市民の足として親しまれている熊本市電。熊本市交通局では対応が追いつかず、今年度の早い内を目標に部品の切り替え作業を行う予定。それまでは両替をしたい場合は乗務員が旧札を持って対応するということです。

財務省では、新紙幣発行に伴った詐欺行為になどに注意するよう呼びかけています。「従来のお札が使えなくなる」「従来のお札を交換する」など誤った情報に惑わされないようにしてください。

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