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【水俣病】木村知事「環境相らはつるし上げ」直後に発言訂正 抗議した団体に誹謗中傷も

2024年5月10日 18:57
【水俣病】木村知事「環境相らはつるし上げ」直後に発言訂正 抗議した団体に誹謗中傷も
水俣病の被害者団体らと環境大臣らの懇談で職員が団体側の発言中にマイクを切った問題で、熊本県の木村知事は、10日の定例記者会見で、抗議を受けた環境省側が「つるし上げになっている」と発言し、その後訂正しました。一方、伊藤環境相は環境省内の体制を見直し、水俣病問題解決を進める方針を示しました。

■伊藤環境相
「環境省発足の経緯からいっても、水俣病問題が終わっていない、責任は環境省にある、多くあると思います。水俣病問題の1日も早い解決に向けて取り組みを加速するように事務方に指示をしております」

伊藤環境相はこのように述べ、スピード感を持って水俣病問題の解決にあたる考えを示しました。直近の対応としては、懇談会でマイクを切った特殊疾病対策室の人員を増やすなど体制を見直し、水俣病担当の審議官を専任にするとしました。また被害者団体との懇談会を改めて行う時期については調整中としながらも、できるだけ早く実施したいとしました。

一方、1日の懇談に同席していた木村知事は、10日の定例会見で、懇談の後で環境省幹部に運用を見直すべきと指摘したことを明らかにしました。
■木村敬知事
Q環境省の対応をただす発言はできなかった?
「伊藤大臣を横で見ていたが真剣に聞いていて、大臣に文句を言う雰囲気ではなかった私の感覚は。事務方も何やっているんだという気持ちはあったが、この後、反省してもらえばいいかなと思っていた」

また、環境省側に団体が抗議した一幕について木村知事は。
■木村敬知事
「あの場で事実上つるし上げになっている大臣も環境省も」

この「つるし上げ」発言について、直後に報道陣から意図を問われた木村知事。「言葉を訂正します。申し訳ありません。厳しい怒号や怒りを込めて大臣や関係者を叱責したといいたかった」と発言を訂正しました。

一方、この抗議に対し団体の事務局に、「文句があるなら国会議員に立候補して言え」などと誹謗中傷する電話がかかっていることがわかりました。こうした事態に伊藤環境相は。
■伊藤環境相
「誠に申し訳ないことで深く反省しております。そういう二次被害の防止も含め、環境省はこのことが患者の皆様、 また被害者の皆さんに悪影響が出ないようしっかりとそちらの方についても進める」

一連の事態について、水俣病の差別問題に詳しい熊本学園大学の花田昌宣シニア客員教授は次のように話しています。
■熊本学園大学 花田昌宣シニア客員教授
「根っこにはハンセン病だったり、今回は水俣病だったりに対する差別意識があって、それが歪んだ形で出てくるんだろうと思います。誰が水俣病なんだということをめぐって、国は法廷でも行政的な手続きでもずっと争い続けてるわけですよね。だから、その辺のことを腑分けして、被害者に対する補償と救済に取り組んでいかない限りはなくならないですね」