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10年前から36倍 県内で急増する「梅毒感染者」母親から子どもへ感染も

2024年7月22日 20:11
10年前から36倍 県内で急増する「梅毒感染者」母親から子どもへ感染も
県内で急増する梅毒

「記者のコトバ」。今回のテーマは「急増する梅毒」です。

(永島由菜アナ)
「梅毒」とは、梅毒トレポネーマという病原体が性的な接触などで感染する病気です。
別の病気と判断しにくいことから「偽装の達人」と呼ばれています。

症状は主に3段階に分かれます。感染後約3週間は陰部や口の中、肛門など感染した部位にしこりやくぼみができます。痛みがないことも多く、症状は自然におさまりますが病気は治っていません。
そのまま3か月以上放っておくと手のひらや足の裏、体全体にうっすらと赤い発疹が出ることがあります。

そして感染から数年たつと骨や筋肉に腫瘍ができたり、臓器に異常が起きたりして場合によっては死に至ることもあるのです。この梅毒がいま、県内で急増しています。その背景を取材しました。

過去10年間の県内の梅毒の感染者数を示したグラフです。2017年から感染者は急増していて去年は252人と過去最多に。10年前と比べると36倍となりました。ことしも6月までの半年で109人と去年に近いペースで感染者が増えています。

また年代と性別では、男性は20代~50代と幅広い年代で、女性は20代が多いことが分かります。
熊本県によると、感染者の約6割はいつどこで感染したのか経路が分かっていないということです。
急増する梅毒の感染者。要因について、県が指摘するのは…

■県健康危機管理課・嶋田敬英さん
「SNSを使って色んな方と出会う機会は増えたのはありますので、可能性の1つとしては考えられると思います」

SNSを使う人が増え不特定多数の人と気軽に関われるようになったことも理由の一つとみています。

また梅毒は、出産にも影響が。女性が梅毒の治療をせずに出産すると40%の割合で死産、または新生児期に死亡するリスクがあるといいます。さらに出産後、子どもが成長したとしても…

■すえなが婦人科・産科クリニック・末永義人理事長
「生まれた当時はわからなくて、数か月してから初めてわかるというケースも多いので特徴的な所見がない」

母親の体から赤ちゃんに梅毒が感染することで起きる多臓器感染症を「先天梅毒」といいます。感染して生まれた子どもは難聴や視覚障害、知的障害のリスクがあるということです。

■すえなが婦人科・産科クリニック・末永義人理事長
「先天梅毒のお子さんは早産で生まれたりとか、小さく生まれてくるということがあったり、あるいは例えばいわゆる肝臓が腫れているとか、お腹に水がたまっているとか、あとは胎児水腫といって体がむくんでいるとかということで出てきて」
Q先天梅毒として生まれると治療法ってあるんですか?
「基本的には厳しいですよね」

自分とパートナー、そして将来の家族のためにもまずは予防が大切です。

Q予防法は?
「いわゆる安全なセックスということになると、コンドームとかを使う方が安全でありますし、特定の信頼できるパートナーとのいわゆる性交渉ということが一番安全であることは間違いないですよね」

【スタジオ】
(緒方太郎キャスター)
症状がある場合はどこに相談すればいい?

(永島由菜アナ)
産婦人科や泌尿器科のほか、地域の保健所に連絡をして下さい。
血液検査で感染を調べることができます。保健所では無料・匿名で検査ができます。
梅毒は治療をすれば治る病気です。予防を徹底するのはもちろん、少しでも不安がある人はまず検査をしてみてください。