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小学生に大学生レベルの学びを「子ども大学」講師に俳優・紺野美沙子さんも

2024年3月20日 19:08
小学生に大学生レベルの学びを「子ども大学」講師に俳優・紺野美沙子さんも
親が育てられない子どもを匿名でも受け入れる「こうのとりのゆりかご」、いわゆる赤ちゃんポストに預け入れられた、こちらの男性。小学生らの新たな学びの場「子ども大学」を熊本で初めて開校しました。俳優の紺野美沙子さんを講師に招き、子ども達に届けたメッセージとは。

3月16日。東海大学熊本キャンパスで開催された「子ども大学くまもと」の開校記念特別講演。小学校高学年の子どもたちと保護者約40組が集まりました。

■宮津航一さん
「みなさんの力をいただいてなんとかこの日を迎えることができた」

理事長を務めるのは、かつて「こうのとりのゆりかご」に預け入れられた宮津航一さんです(20)。
「子ども大学」は、小学生が各界の専門家から大学レベルの授業を受ける教育プロジェクト。ドイツで2002年に誕生し日本でも広がりを見せていて、熊本では初めて開校します。

宮津さんと一緒に子ども大学を立ち上げたのはゆりかご開設に携わった慈恵病院の元看護部長田尻由貴子さん(73)。2人の出会いは17年前にさかのぼります。

■宮津航一さん
「ゆりかごに預け入れられた時に 置いてあったのがこの靴と服だけで…」

3歳でゆりかごに預け入れられた航一さんを初めて抱き上げたのが田尻さんでした。

■田尻由貴子さん(2022年の講演)
「今でも思い出す。かわいかった…愛らしくて、抱っこして柔らかいね、3歳。今でもそのぬくもりを感じて」

それから里親の宮津家で愛情たっぷりに育てられた宮津さん。
様々な人とのつながりで今があるからこそ、次は自分が、子ども達のために力を尽くしたい。

■宮津航一さん
「関わっている、後ろに座っている、横に座っている人たちは皆さんの応援団です。こういう人がいるんだ。こういう世界があるんだと。こういうことが自分達にもできるんじゃないか、そういう機会になればいいのかなと思っています」

この日の講師は俳優の紺野美沙子さん。原爆で我が子を亡くした父母の手記をもとにした絵本を朗読しました。

■紺野美沙子さん
「局長が何人死んでもいい。うちの子が死ななければいいんだ。私は声を上げて泣きました」
「戦争はやめてほしい。戦争というものはこの地球上からなくしてほしい。子どもが前夜語った言葉を追憶してみました。あの言葉は14歳の少年の言葉ではない神の言葉だと思いました」

朗読を聞いた子どもたちは。

■参加した児童(5年)
「命の大切さは誰でもわかっているようでわかっていないので、これを見て命の大切さがしっかりと分かった」

■紺野美沙子さん
「今を生きていますよね。朝ごはん食べて、学校にいって友だちと話して、必ず来るであろうと思える日常というのがかけがえのないものなんだよということをちょっとでもわかってもらえたら嬉しいなって思います」

命の尊さを伝えるメッセージをそれぞれに受け止めていました。

■参加した児童(4年)
「イスラエルとか戦争なくして世界のみんなが平等に生きられるような平和な世界にしたい」

■母親
「歴史を知るすごくいい機会になったし子どもさんの感想を聞いたときに胸が熱くなりました」

家族への思いにも変化が。

■参加した児童(5年)
「お父さんとお母さんにいつもありがとうと伝えたい」

■参加した児童(4年)
「友だちとか家族との時間を大切に過ごしたい。」

■母親
「生きることについて共通に話せるというのはきょうをきっかけにできるようになるんじゃないかと思っています」

■田尻由貴子さん
「子ども達があんなに反応してくれるなんて想像もしていなかった」

ゆりかごが結んだ縁で生まれた子ども大学。平和と命を親子で学ぶ温かい時間となりました。

■宮津航一さん
「これを機に2回目3回目と継続しながら子ども達のためにどうしたらいいかを、常に問い返しながらこれからやって行ければいいのかなと思います」