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【台風10号】秋の味覚のクリやナシも被害 宿泊のキャンセルも 熊本の各地に爪痕

2024年9月2日 18:52
【台風10号】秋の味覚のクリやナシも被害 宿泊のキャンセルも 熊本の各地に爪痕
上天草市で発生した土砂崩れ
台風10号は県内各地にもさまざまな被害をもたらしました。

上天草市大矢野町では、10メートルほどの高さにある畑が崩れ、住宅に大量の土砂が流れこみました。この住宅に住む70代の男性によりますと、土砂が流れ込んだのは一緒に住む90代の父親の部屋で、部屋にいた父親の2メートル前まで土砂が迫ったということです。男性と父親にけがはありませんでした。

KKTの取材に対し男性は、「近所にある山が崩れるという話は過去に聞いたことがなく、とにかく驚いた」と話していました。

農作物にも被害が出ています。あさぎり町の森田雄一さんの農園では、約500本のクリの木を育てています。8月31日、地面に落ちていたのは収穫前の「利平」という品種のクリ。強風で落下しました。

■クリ農家 森田雄一さん
「利平は、ひどい所は9割くらい落ちてますね。リアカー山盛りで、100台くらいはあると思います」

被害額は、数百万円にものぼるといいます。

■クリ農家 森田雄一さん
「1年間管理しても、台風が来たらですね。農業はかなり難しいですね」

一方、荒尾市のナシ園では。
■ナシ農家 村上厚さん
「1割ちょっとぐらい(落ちた)ですよね」

台風に備えて、木の枝の支えを取り付けたことで、被害を最小限にとどめることができたということです。

■ナシ農家 村上厚さん
「ナシはとにかく揺れに弱い。この棒を立てただけです。立てるか立てないかで揺れ方が全然違う」

最大約1万5000戸が停電した県内。(8月29日午後3時時点)天草市五和町にあるクラフトビールの醸造所では、ほぼ1日、停電となりました。

■AMAKUSA SONAR BEER醸造担当 角麻起子さん
「タンクの温度を電気で管理しているので、温度管理ができなくなっちゃって」

停電によって、タンク内の温度が2℃から3℃上昇し、ビールの醸造に必要な酵母が死滅。酵母を新たに確保するためには、約50万円かかるということです。

熊本市内のホテルでは、宿泊のキャンセルが相次ぎました。8月28日から3日間で110件以上にのぼったということです。

■松屋別館 市丸耕太郎ゼネラルマネージャー
「夏休み最後の週ということで、宿泊は9割近く予約が埋まっていた。28日分の予約から3日間が、特に集中してキャンセルが相次いだ」

■吉田佳記者
「こちらの宴会場には3日間で15件ほど予約が入っていましたが、すべてキャンセルに。宿泊分と合わせた損失額は約150万円にのぼるということです」

ホテルでは予約者に事前に連絡し、宿泊の意思を確認しました。キャンセルに伴い使われなくなった食材は、避難先として訪れた人たちへの食事に活用するなど、食材の廃棄はほとんどなかったということです。

■松屋別館 市丸耕太郎ゼネラルマネージャー
「自然のおそろしさを十分感じた。今後もこういったことが起きる可能性はあるので、できる限りの対応をしていく」

熊本県は引き続き、台風10号による被害について情報収集を行うということです。