3~5万個の卵が塊に…有明海のアサリを食い荒らす天敵の駆除作業を取材
小さな穴が開いたアサリ。実は中身は空っぽで、別の貝が穴をあけて中身を食べた跡なんです。有明海のアサリを食い荒らす天敵の駆除作業に密着しました。
熊本市の緑川河口。普段はアサリやハマグリの漁場ですが、採っていたのはなにやら黒い物体…
■福島尚輝記者
「アサリの天敵ツメタガイの卵です。このひとつの塊に3万~5万個の卵があるということです」
巻貝の一種、ツメタガイ。県水産研究センターによりますと、春に産卵期のピークを迎え、この時期には干潟上に多くの卵のかたまりがみられるということです。
有明海と八代海の沿岸に全国有数の干潟がある熊本では貝類の漁業が盛んに行われてきました。
熊本県のアサリの漁獲量は47年前には6万5000トン以上あり、一時は日本一を誇っていました。(S40年代後半~50年代前半には日本一の漁獲量誇る)しかし2020年には28トンまで激減。依然として少ない状況が続いています。
その原因の1つとされるのがツメタガイによる食害です。アサリなどの殻に穴をあけて中の身を食べてしまいます。
ツメタガイからアサリを守ろうと約25年前から夏の孵化を前に行われてきた駆除作業。
この日は川口・海路口・住吉の3つの漁業組合から約170人が集まり、ツメタガイや卵 約20キロを駆除したということです。
■川口漁協・内村公一参事
「例年に比べると量も少なくなって毎年続けているからかツメタガイの量も大分減っている」
地道に続ける努力が実を結び、去年と比べると干潟のツメタガイは3分の1ほどに減ったといいます。
川口漁協では去年のこの時期、アサリの漁獲量が2.8トンほどだったのに対し今年は約2倍の5.4トンほど水揚げしているということです。
■川口漁協・内村公一参事
「資源量を確保するためにこういった清掃や地盤の耕うん、漁業者と一緒にともに頑張っていこうと思う」
アサリの天敵はツメタガイだけではなく、エイやカモによる食害も大きな影響を及ぼしているということです。
県内の多くの漁協は網を被せて稚貝を保護育成する「被覆網」を設置し、ツメタガイやエイの侵入、カモの被害を防ぐ取り組みをしているということです。