校舎に防犯カメラ? 文科省「政令市での導入は聞いたことがない」 熊本市の教育行政審議会で議論
熊本市の教育行政のあり方について話し合う有識者の会議が27日、開かれました。市の教育長に提出する最終答申に向けて意見を交わした中、学校の校舎内に防犯カメラを設置することを盛り込むかどうかで議論が熱を帯びました。
熊本でも相次ぐ学校でのトラブル。子どもたち同士のいじめや、教員による盗撮だけでなく、以前はこんな事件も。
■内藤有希子記者(去年7月放送)
「黒っぽい服装にリュックを背負っていた男。堂々と門から入り下駄箱に向かったということです」
学校の外から男が侵入し、子どもの上履きが盗まれました。
こうしたトラブルは、どうすれば未然に防ぐことができるのか。27日に開かれた熊本市教育行政審議会。熊本市の教育行政のあり方について話し合う有識者の会議です。市の教育長に提出する最終答申に向けて意見を交わした中、「ある議論」が熱を帯びました。それは「防犯カメラ」。
この日審議した最終答申案の中に、いじめや盗撮などの抑止や証拠を残すために、学校の校舎内への防犯カメラの設置を検討することが記載され、これまでの審議で出た意見が反映されています。
■日本大学文理学部教授 末冨芳委員
「防犯カメラの設置については必要という立場にたちながら、ただちに導入しますという考え方ではなくて、設置場所や時期についてさらに検討した方がいいけれども、原則として必要だよという書き方をしている」
文部科学省によりますと、全国の政令指定都市で導入しているケースは聞いたことがないといいます。委員からは。
■中学校長 平生典子委員
「防犯カメラが学校の外につけられています。それに関しては何の問題もなくつけられているんですけど、学校の中にあったときにどうなのか?(教員・保護者に)いろんな意見を聞いた中で賛否両論あるのは確かです」
■弁護士 村田晃一委員
「監視されている状況に子どもたちを置くと、どこまでやろうかな…というところで、みなさん悩まれているところだと思うんですけどね」
■医師 比江島誠人委員
「我々のところにも、保護者・本人・学校の先生と来て、それぞれが色々な情報を言う。ずっと学級崩壊みたいなことが起こっている時は、記録を残すのは抑止力になるんじゃないか」
それぞれの立場からの議論が熱を帯びます。一方、子どもの権利を守るためのこんな声も。
■公募 森博子委員
「カメラをつけることを子どもたち自体が議論する、嫌っていう意見がたくさん出るのは想定内だと思うんですけど」
■福祉関係 富永智子委員
「子どもに考えさせる、導入のプロセスを大切にしてもいいんじゃないか」
子どもたちを守るための校舎内への防犯カメラの検討。有識者による最終答申は、今年度末までに市の教育長に提出されます。