今も400人超が仮住まい…豪雨から4年の被災地で祈り 県外からは船頭候補も
■熊本豪雨で被災した人
「4年が早かったか、遅かったかとよく聞かれるけど、ピンときませんね。生活は一応再建できましたけど、ただ思い出だけが残らないというか。アルバムとか本とかレコードとか…」
2020年7月4日に発生した熊本豪雨。濁流は街を飲み込み、災害関連死を含む67人が死亡。今も2人の行方が分かっていません。
27人が犠牲となった球磨村。町職員の大岩正明さんの母親は、特別養護老人ホーム「千寿園」で亡くなりました。千寿園は球磨川と支流が合流する場所の近くにあり、一気に押し寄せた水で14人が犠牲となりました。
■母親を亡くした 大岩正明さん
「やっぱり1年1年、たつのが早いなと感じている。この4年間、あっという間に過ぎ去ったな」
今年1月、千寿園は元の場所の近くにある高台に移転しました。今は村全体の復旧・復興を担当する大岩さん。安心して暮らせる村を目指します。
■母親を亡くした大岩正明さん
「母ならず父からも、仕事を真面目に全うしろと日頃から言われてましたので、一日一日を大切に、自分のできることを1つずつやっていくしかない」
少しずつ、戻る日常。笑顔になれる出来事もあります。球磨川くだりの発船場で祈りを捧げるのは、20歳の坂東祥龍さんです。神奈川県出身の板東さんは、旅行で訪れたのをきっかけに人吉市に移住し、7月から船頭の見習いになりました。魅力も怖さも合わせ持つ球磨川を知り、安全第一の船頭を目指します。
■球磨川くだり船頭見習い 坂東祥龍さん
「まずは船頭と共に乗船する“ともはり”なんですけど、"ともはり"の視点から見る川下りの景色の移り変わりやお客様の表情などが楽しみ」
熊本県内にはこの1年で災害公営住宅が相次いで完成し、仮住まいの人は217世帯412人とピークだった2021年1月の1814世帯、4217人の1割弱となりました。
■仮設住宅に住む人
「全部の住宅に人が住んでいたが、あっちが移り、こっちが移り。みんなバラバラになってしまった」
熊本県は、仮住まいの人たち全ての再建の方向性が決まったとしていますが、区画整理など公共事業の影響で時期のめどが立たない人も多くいます。球磨川のそばでこの先も続く生活。被災地の復興は、まだ道半ばです。