【開業1年】搭乗直前まで買い物やグルメ楽しめる 熊本空港新ターミナルにぎわう一方で課題も
■緒方太郎キャスター
「熊本空港です。これまでの1年でどう変わり、これからどんな青写真を描いているのでしょうか」
熊本地震で被害を受けた後に建て替えられ、延床面積が約1.4倍になった新しい旅客ターミナルビル。
■空港の利用客
「きれいで、お土産とかも見やすくていいですね」
2023年度の利用乗客数は320万人を超える見込みで、ほぼコロナ禍前の水準まで回復しました。
■熊本空港 山川秀明社長
「新しいターミナルビルという話題性、それに加えてちょうどコロナ禍からの回復。多くのお客様にご利用いただいた充実した1年だった」
熊本空港の国内線は8つの路線があります。今年はさらに、高知線と札幌線がチャーター運航します。また、県内の半導体関連の輸送需要が高まっていることから、ANAは3月、国内線初となる貨物専用大型機のチャーター便を成田との間で運航。定期便化を目指しています。
そして。
■緒方キャスター
「国際線ですが、そこにもズラーっと列ができていますね。熊本空港が活気あるのが一目で伝わってきます」
国際線は台湾の台北と高雄、それに香港、韓国の4路線で週23往復しています。これは、地方空港としては全国トップクラスの便数です。搭乗率はおおむね8割超え。昨年度の国際線利用客は20万人を超え、過去最多となる見通しです。
中でも台湾は、TSMC熊本進出による需要の増加もあり、スターラックス航空は去年10月から便数を増やしました。
■スターラックス航空熊本空港所 賴佳慧支店長
「TSMCの工場が設立されたことで、台湾のテレビ番組で頻繁に熊本のことが取り上げられるようになった。そのおかげか、就航当初は団体旅行客が多かったが、現在は個人旅行客も増え続けている」
平均搭乗率は8割を超え、繁忙期はほぼ満席だといいます。
Q熊本はどうですか?
■台湾からの旅行客
「とてもいいところだね。台湾の人はくまモンが好き。たくさんくまモンの写真を撮ったよ」
■台湾からの旅行客
「阿蘇を見て、すごくきれいでした」
そして、保安検査場の先にあるのが熊本空港肝いりの搭乗待合エリア。雑貨や土産など25の店が揃います。
■緒方キャスター
「一番驚いたのは、飲食店などのブースと搭乗口までの距離がとにかく近いんですよね。ちょっと大げさに言うと、アナウンスがあるまで空間を楽しめます」
■熊本に帰省した人
「ゆったりこれから、ご飯を食べてお土産を見ようかなという感じ」
この搭乗待合エリアは、国内でも珍しい国際線利用客も使える仕組みに。日本を離れる直前まで熊本を満喫できます。
■台湾から出張で来た人
「TSMC関連の出張で来ました。品揃えも豊富で、いい感じです。日本の小銭を最後にここで全部使いきりました」
■台湾からの観光客
「良いと思う。このようなところがあれば、もっと色々なものを買い物できる」
その一方で、新たな空港の課題も明らかに。見送りに来た人たちが声をそろえるのが…。
■家族を見送りにきた人
「遊ぶところが欲しいよね、子どもたちの」
■孫の見送りにきた人
「最後に何か甘いものを食べさせてやろうと思ったら、飲食店がちょっと少ないかな」
待合エリアの店を利用できるのは飛行機に乗る人だけ。見送りに来た人は入れません。空港にも改善を求める声が届きました。このため空港側は、乗客以外も利用できる新たな商業エリアを、予定していた「秋の一斉オープン」から「準備ができ次第、順次オープン」に方針転換しました。
課題は他にも。
■緒方キャスター
「熊本市から空港に向かう通称・第二空港線です。時折、のろのろ運転にもなります。だいぶ余裕をもって出発しないと、飛行機を使うのは心配ですね」
■空港の利用客
「もうちょっと近ければいいかなとは思うんですけど」
■家族を見送る人
「30分で着くくらいが一番理想ではないですかね」
街の中心部と空港のアクセスの悪さです。所要時間は全国の主要空港のなかでもワースト。公共交通機関のメインとなるバスで60分、渋滞する時間帯は90分かかります。
アクセスを改善するため、熊本県はJR豊肥線の肥後大津駅と空港を結ぶアクセス鉄道を計画中で、2027年度の着工を目指しています。このほか、熊本市とともに新たな高規格道路を整備する計画です。
今年の秋、第2期の商業エリアがオープンし、イベントもできる広場も整備される熊本空港。
■熊本空港 山川秀明社長
「世界と地域に開かれた九州セントラルゲートウェイ、多くのお客様を迎えて、熊本の経済、発展に貢献していきたい」
2051年度の利用客の目標は、昨年度の2倍弱の国内線と国際線合わせて622万人(国内線447万人、国際線175万人)。熊本の空の玄関口の利便性の向上とさらなる変化が期待されます。