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【武田真一さん深掘り】TSMCや地下水汚染…今年の熊本のニュースを振り返る

2023年12月16日 12:22
【武田真一さん深掘り】TSMCや地下水汚染…今年の熊本のニュースを振り返る

KKTで月曜から金曜の午前放送している「DayDay.」の司会者、武田真一さん。熊本出身の武田さんが元同僚で後輩の東島大デスクと熊本のニュースを深掘りします。

(畑中香保里キャスター)
ここからは「DayDay.」MCの武田真一さんとリモートで結んでお伝えします。

(東島大デスク)
今年の熊本の主なニュース、きょうは私が気になったニュースを一緒に伝えていきます。

(畑中キャスター)
ちなみに武田さんはどんな1年でしたか?

(武田真一さん)
漢字で表すと「日々」です。1文字ではないんですけど。文字通り」DayDay.」という番組の名前そのものなんですが、一日一日本当に楽しく過ごさせていただいていますという感謝の気持ちと、ウクライナとかパレスチナで紛争が続いていますよね。一日一日を安全に楽しく過ごせるというのは決して当たり前ではないしすごく尊いことなんだなということを実感した年だったなと思っています。

高校の"伝統" 廃止決まる

(東島デスク)
では早速、私が厳選した熊本のニュースを。3月に九州の高校の伝統に大きな変化がありました。なんだと思います?

(武田さん)
高校の伝統と言えば、熊本の人はすぐに「あんた高校どこね?」って聞きますよね。

(東島デスク)
聞きますよね。でも違うんですよ。
朝課外という九州独特の仕組みが廃止に。でも武田さんは熊本高校出身だから朝課外はなかった?

(武田さん)
朝の課外はなかったような気がしますね。夏休みに成績の悪い生徒を集めて補習はありました。 数学はいつも補習でした。九州では伝統といわれるほど一般的だったんですね。

(東島デスク)
ずいぶん教育の在り方が変わってきたと思いましたね。

(武田さん)
子どもたちにもゆとりを持たせてということなんですかね?あと先生方の負担も重いって言われますもんね。

(東島デスク)
学び方も変わってきていると言いますね。

(武田さん)
例えばうちの子どもたちはいろんな英語のテストでどんな勉強の仕方をしているかというと、
動画サイトで攻略法を見たりチャットGPTを使って自分の英語を正しいかどうか、おかしいところを指摘してとAIに聞いたりする勉強の仕方をしているみたいですよ。

(東島デスク)
そういえば今年、熊本で人工知能学会がありました。

(武田さん)
本当に子どもたちの勉強の現場でも抜きにできないという状況なんですよね。
確かに学習方法を効率化することによって、今までみたいに朝早く出てきて先生も生徒も眠い目をこすりながら対面でという、それも良さはあると思うんですけど、なるべく効率化してその分例えば求められているアクティブラーニング(生徒が自ら興味がある課題を設定し考えていくような学習法)など新しい学び方に時間を割いていくことも必要ではないかと思います。

100年に一度のチャンス TSMC進出

(畑中キャスター)
武田さんが気になったことはありますか?

(武田さん)
やっぱりTSMCという4文字ですよね。

(東島デスク)
この中では「菊陽町周辺の地価が上がった」ですとか、「台湾への航空便就航相次ぐ」ということをリストには入れたんですけど、一年を通じてTSMCの話題はずっと報道してきましたね。

(武田さん)
熊本のというよりも日本の10大ニュース、ナンバーワンのニュースと言ってもいいのかもしれないですよね。

(東島デスク)
私たち熊本が取り組むべきことというのはどういうことなんでしょうか?

(武田さん)
熊本にとって(TSMC進出は)100年に一度のチャンスなどとよく言われているそうですけど、もちろん経済効果もあるんだろうと思うんですが、私が考えるのは2つのポイントです。
一つは、「人材の育成」のチャンスだと思います。TSMCは自社や国内の関連企業以外から1000人以上を新規に採用するそうですが、できれば熊本の若者に多く活躍してほしいですよね。

(東島デスク)
熊本大学をはじめ、県内の大学や高校で、半導体の専門家の育成や半導体産業についての教育が始まったニュースを今年何度もお伝えしました。

(武田さん)
もう一つ、「変化のスピードへの対応」だと思うんですね。半導体は2年でひと世代進化するといわれているくらいすごいスピードで進化を遂げている分野なんだそうです。
TSMCというのはそんな市場の変化に対応していくことで成長してきた企業ですよね。ですからTSMCを支える熊本の取引企業や、インフラや社員の暮らしを支える自治体も、TSMCがどんどん変わっていくその変化に対応しなきゃいけないと思うんですね。先を見越してどんどん熊本の企業や自治体も変わっていかなきゃいけない。大変なことだと思いますがもし上手くいけばほかの企業を海外から誘致していくうえでもとてもいい経験になると思います。

熊本市の川から基準値超える有機フッ素化合物

(東島デスク)
TSMCでは、地下水の問題もクローズアップされました。熊本が誇る地下水の「量」と「質」の問題。有機フッ素化合物による地下水汚染が熊本でも大きな問題になりました。

熊本市の井戸から、国の暫定指針値超える有機フッ素化合物が見つかったと発表されたのが4月でした。熊本市の大西市長は翌月、特別プロジェクトチームを設置。しかし原因はわからないままです。

原因は何なのか?KKTは京都大学と共同で独自に調査を開始しました。その結果、熊本市を流れる井芹川の約半分で有機フッ素化合物の濃度が国の指針値を上回っていることが分かりました。
これを受けて熊本市も緊急に調査。大西市長は「汚染の原因が何なのか、しっかり突き止める。国あるいは県や関係機関と連携を取りながら適切に対応をしていきたい」と話しています。

(畑中キャスター)
武田さんもこの一連の経過見続けましたよね。

(武田さん)
市も調査に乗り出しているということで早晩排出源が特定できるんじゃないかと期待したいんですが、排出源が特定できたとしてもそのあとどう対応するかも課題だと思います。管理が適切でなかったり、違法行為があったりした場合は厳しく対応すべきですが、仮に過失や何らかの理由で知らず知らずのうちに漏れていたということも想定される。
その場合いたずらに責めるだけでは、隠ぺいしたり責任を逃れようとしたりする恐れもあります。まずは流出を止める、拡大させないことが何より大切ですので、冷静に事態を把握して対処していくことが大事ではないかと思います。

原告全員を水俣病と認める判決

(東島デスク)
「水」ということでは、水俣病にも今年は大きな動きがありました。特に9月27日の大阪地裁での判決。原告全員を水俣病と認める画期的な判決でした。

(武田さん)
水俣病第一次訴訟で、原因企業チッソの責任を認めた判決が50年前だった。50年たっても、今なお別の裁判が続いていることに、改めてこの問題の根深さを感じるんですけど、長年取材してきた東島さんは、今年出たこの判決をどう受け止めていますか?

(東島デスク)
水俣病の最終解決手段として水俣病特別措置法ができました。ところが、この法律は解決にならないと訴えたのが今回の訴訟だった。判決では特措法の不備や運用上の問題が指摘され、あらためて国に根本的な解決を裁判所が迫る形になっていると思います。

熊本地震で大きな被害の南阿蘇鉄道 全線で運転再開

(畑中キャスター)
その他、気になったニュースはありますか?

(武田さん)
なんといっても私の故郷である南阿蘇ですね。
熊本地震から7年たって、ようやく南阿蘇鉄道が全線で運転を再開というニュースを本当に嬉しく拝見しています。先日、KKTの番組のロケで立野から乗ることができました。この時は座席に座れない人もいるくらいの乗車率で、ロケをするのが申し訳ないくらいだったんですが、大勢のお客さんが戻ってきている姿にとても胸がいっぱいになりました。

なかでも感動したのは、7年も不通だったのに地元の人たちがずっと鉄路を守ってきたことです。例えば「水の生まれる里白水高原駅」の駅舎で古書店を営む中尾さんご夫妻も、列車の通らない駅で営業を続けてこられました。まだ列車が通ることに慣れないとおっしゃっていましたが、再開したので車内で手に取りやすいように文庫本の在庫を増やさなきゃと張り切っていらっしゃいました。
私はふるさとを離れていて、十分な力になれなかったんですが、これからもしっかり地元の皆様の歩みを見つめて、 全国のみなさんにも伝え続けていきたいと思います。