“統一教会”巡る富山県内の裁判など現状は
霊感商法や高額献金による被害が社会問題となったいわゆる統一教会を巡り、県内外で続く裁判や国の動きはどこまで進んだのか、現状をまとめました。
富山県平和大使協議会 鴨野守代表理事
「大阪地裁、先月28日の判決は、富山や北九州の裁判に影響するということで、私たちは大変期待を持って注目しておりました。負けたということを聞いて大変ショックを受けました」
11日、富山市内での会見でこう話したのは、教団の元広報局長、鴨野守さんです。
この日は、鴨野さんが代表理事を務める県内の教団関連団体が教団と関係を絶つとする市長の発言や富山市議会の決議で名誉を傷つけられたなどとして、市に損害賠償を求めた訴訟の第3回口頭弁論がありました。
同様の訴訟は各地で起こされていて、このうち大阪地裁は2月、教団関連団体が大阪府議会などの決議取り消しなどを求めた訴えを退ける判決を出しました。
県平和大使協議会 鴨野守代表理事
「それとは違うですね、名古屋高裁における判決事例があるという話を聞いて、まずそこに望みがあると。富山の地裁では公平な判断をしていただいているものと期待しています」
県内では、このほかに富山市内の信者が富山市に対し起こした訴訟も続いていて、次回の裁判はいずれも5月に開かれます。
一方、教団の財産については監視強化の動きが進んでいます。
文部科学省は3月、統一教会を「指定宗教法人」に指定しました。
教団は不動産を売却する1か月前までに国に通知することや、教団の財産目録を3か月ごとに提出することなどが義務づけられました。
教団が不動産の売却などを行った際には、詳細が文化庁のホームページで公表されます。
こうした動きに対し、会見に同席した市内の信者は。
訴えを起こしている信者
「信者の立場からすると 、うちの教会だけそんな悪いかって正直思っちゃうわけですよ。でも結局うちだけを特定に名指しして作った法律に見えるわけですよ。それは差別じゃないですかと私は言いたい」
一方、県内外の被害者の救済に長年取り組む中川亮弁護士は。
全国霊感商法対策弁護士連絡会 中川亮弁護士
「少なくとも監督官庁がウォッチしていることになるので、慎重になることは間違いない。プレッシャーになることは間違いないのでそういった点は評価できる、不十分ではあるけれども」
中川弁護士が以前から訴えているのが「教団の財産を海外などに流出させない対策」です。
「指定宗教法人」への指定は、2023年12月に施行された特例法に基づくもので、国などが解散命令を請求した宗教法人のうち、被害者が相当多数いると見込まれる法人が対象となります。
文部科学省は今後、教団が不動産の現金化や海外へ財産を移す行為など、財産を隠す恐れがあると判断した場合には、被害者が財産目録を閲覧できる「特別指定宗教法人」への指定も検討していく考えです。
中川弁護士
「今のままだと、どこに何があるかわからない。これを被害者が見られるようになれば実際に押さえよう保全しようというときに具体的にこの財産があるじゃないかと。それがあるとないとでは全然違う。そこに仮に財産の散逸とか隠匿の恐れがあると文科省判断したら、速やかに特別指定宗教法人に移行していただきたい」