旧統一教会と富山政界との関係追ったKNB番組「救いの手」上映 田原総一朗さんとの特別対談も
ドキュメンタリー作品を集めた東京の映画祭で、旧統一教会が富山県内の政治家や行政に関わってきた実態を追ったKNB制作のテレビ番組が上映されました。
上映後にはあのジャーナリストが登壇し、制作した数家キャスターに鋭い質問を投げかけては、会場を沸かせました。
田原さん
「あなたが”統一教会”を批判する番組をつくった。こてんぱんに。面白いと思う。あの番組を作ろうとしたのは安倍首相が銃撃された後ですか前ですか?」
数家キャスター
「やはりあの、安倍さん銃撃後に、日々のニュースを伝える中で、いろいろ問題がでてきたので、それをやりながら後で番組化しようと考えました」
2月8日に東京都杉並区で開幕した映画祭。
ドキュメンタリー作品の魅力や可能性を伝えようと国内外の作品を取り上げていて今回で15回目です。
11日会場では、KNB制作のテレビ番組「救いの手~統一教会と富山政界~」が上映されました。
番組は、教団が、政治家に巧みに近づきながら、国や自治体の政策に教義や思想の浸透を図ろうとした実態を追ったKNBニュースエブリィの調査報道を再構成したものです。
映画祭の今回の特集テーマはデモクラシー=民主主義で、映画祭の主催者は番組の上映理由をこう語ります。
ドキュメンタリージャパン 橋本佳子さん
「去年の秋に、あるコンクールで作品を拝見して、衝撃を受けたんですね。”統一教会”のことは信者となにかその人たちの問題じゃなくて、この番組を見ると私たち一人一人に問題だと多分、番組では言ってないけど描かれている。これがほとんどの人が見ないで終わってしまうのは、なんてもったいないと思って」
上映後、観客に番組の感想を聞くと。
来場者(メディア研究者)
「テレビの力がまだ残っているなということを示した番組だと思いますし、地方から中央を撃つ、という地道な調査が行われた番組だったのではないかなと思います」
来場者
「(教団と政治家の関係が)そんなに簡単に断ち切れるのか気になるところ。いろんな団体に対して、教団に限らず、関係を持っていると思うので、そこは健全な関係なのかというのを知りたい」
また、この日、会場には特別ゲストも。
司会
「ジャーナリストの田原総一朗さんです。」
登壇したのは田原総一朗さん89歳。
戦後のテレビジャーナリズムの新境地を切り開いてきた人物で、テレビ番組の現役司会者としても広く知られています。
田原さんは、番組を見て感じた疑問について「なぜ」と繰り返し問いかけます。
田原さん
「そこで聞きたい。なんで県知事も富山市長も”統一教会”に甘かったの?むしろ擁護しているよね 、県知事も市長も。なんで選挙で甘くならざるをえなかったのか。安倍さんを銃撃した青年みたいに、いっぱい献金して生活に困っている人がいたと思うのね、富山でも。なんでそういう人の声が県知事や市長に届かなかったんだろう」
田原さんは、政治家にとって教団が他の団体と違うのは無償で選挙運動への協力をする存在だったなどとしたうえで、今後は、二世信者の問題をもっと掘り下げるべきだと指摘しました。
また、教団や宗教の在り方については質問とともに持論を展開します。
田原さん
「自民党の政治家が”統一教会”の政策に応援するどこが悪い?”統一教会”の政策はどこが良くない?」
数家キャスター
「それは、一方的だからです。LGBTの問題に関しては慎重にですとか、憲法改正、これは賛否があるわけです。一方だけの意見を、そこだけを取り上げる拾い上げるというのはだめだと思います」
田原さん
「でもどの政党だって主張は一方的だよ。共産党から自民党まで」
数家キャスター
「それはそうですけど、”統一教会”という社会的に問題を抱えた宗教団体の方針・政策・思想にのっかることはよくない」
田原さん
「宗教の一番の問題は“信じるということ”。信じるというのは一種のカルトになっちゃうよ」
数家キャスター
「確かにそう。 今回の問題でも起きていて、2世じゃなくて1世の方は信じているので」
およそ40分間続いた特別対談は、田原さんが最後に問いを残して幕を閉じました。
田原さん
「一番難しいのはね、”統一教会”に限らず宗教をどう考えるか。宗教とは基本的に信心、どう考えればいいか」
田原さんは対談の後、「地方の放送局が主体的な発信をしていくことが、多様性が問われる時代に必要なことだ」と激励してくれました。
エブリィでは今後も地域のあすを考えるために、必要な情報を伝え続けます。