×

【富山湾】シロエビ漁場でも海底地滑り 富大など研究チームが痕跡撮影 漁場激変で漁師は

2025年1月24日 21:49
【富山湾】シロエビ漁場でも海底地滑り 富大など研究チームが痕跡撮影 漁場激変で漁師は

富山湾の調査を行う富山大学などの研究チームが海底地滑りの痕跡を撮影しました。

能登半島地震のあと、シロエビの漁獲量が激減した漁場でも見られ、海底の様子が大きく変化していることが分かりました。

富山大学・立石良准教授「岩盤が露出している。これをみたときはかなり驚いた」

災害地質学が専門の富山大学の立石良准教授です。

能登半島地震では想定よりも津波の到達が早かったほか、シロエビやベニズワイガニが不漁となっていて、海底地滑りの影響が指摘されています。

シロエビが記録的不良に

立石准教授や金沢大学などの研究チームは、去年10月から12月にかけて、富山湾の海底を水中ドローンで調査しました。

調査したのはシロエビ漁が盛んな庄川と小矢部川河口の沖合、それに神通川の河口沖合です。

こちらは、神通川河口の沖合4キロ、水深およそ350メートルの海底の谷底から海底斜面までの映像です。

谷底付近では崩れてできたとみられる岩石が数多く散らばり、海底斜面では、ほぼ垂直な崖が確認できます。

富山大学・立石良准教授「富山湾はすぐ深くなるということは急斜面がそこにある急斜面に物って溜まれないんです。物が溜まらないとどうなるかって言うと、岩盤が出ちゃうってことなので」

崖は高低差およそ80メートルにわたって階段状に崩れていて、崖や岩石の断面に貝やヒトデといった付着生物などがごく少ないことから、研究チームは能登半島地震で海底地滑りが発生した可能性があるとしています。

一方、庄川と小矢部川の河口沖合ではシロエビの不漁が報告されていることから、これまで地形的に海底地すべりが考えられていなかった地点でも調査しました。

庄川と小矢部川の河口沖合でも調査

こちらは沖合2キロから3キロ、水深およそ300メートルの海底付近の様子です。

地震発生後にシロエビの漁場の様子を映像で確認したのは初めてで、シロエビが群れで泳いでいるすぐ近くには、崩れて転がってきたとみられる数メートル規模の岩石が散らばっていることが確認できます。

他の調査地点では、神通川の河口沖合と同程度の規模、高低差30メートルで崖が崩れたとみられ、地震でできたとみられる崖の割れ目も見つかりました。

富山大学・立石良准教授「次崩れるとしたら、そこだよねというところですね。ギリギリ安定を保ったものもあるということですね」

さらに別の地点では漁具とみられるロープの上に岩石が乗っている様子も確認できます。

研究チームによると、海底に岩石が散らばっていると定置網などの漁具が引っかかる危険性があるといいます。

富山大学の立石准教授はまだ、調査をしていない地域でも海底地滑りが発生している恐れがあると指摘しています。

富山大学・立石良准教授「これから海底地滑りの仕組みや、メカニズムといったところを明らかにしていくところがあると思うんですけどもここでこういう崩壊がおきて、それがどういう漁業被害につながったか、因果関係を調べたい。」

また、海底地滑りが、想定を超えて速く到達する津波の発生要因になるとして「防災対策」をする上でも調査を続ける重要性を訴えています。

富山大学・立石良准教授「富山湾の地形的特徴って言うと、海底地滑りによる津波の影響を受けやすい場所。津波がどれぐらいの高さを持つかっていうのが非常に重要かなと思います。なので今回の調査を通して、富山湾内での海底地滑りによる津波がどのぐらいの高さになるのかっていうのを予測できれば防災計画や対策にも貢献できるかなと思っています」

シロエビの漁師たちは

松本隆司さん「ここが割れて落ちてきたのか」
繩井恒さん「そんな感じやね」

昨シーズン、記録的な不漁に悩まされてきたシロエビの漁師たちー。

漁場である海底の映像を見て、網が破れる理由が分かったといいます。

繩井さん「今まで(漁具が)引っかからなかったところが引っかかるようになったか、引っかかりやすいと言われたところが更に引っかかりやすくなったとか感じていた 実際に映像で見てやっぱりかというのは思った」
松本さん「思ったよりひどいなと。大きいものが落ちて転がってきているなという感じですね」

シロエビ漁は、急峻な崖のような海底の谷で行います。

去年の漁獲量は、その前の年の3割に届きませんでした。

月別に見ると、シーズン前半の落ち込みが激しく、4月から5月と、8月の合わせて2回、休漁しています。

「最初は荒かった(大きかった)けど それからまたすぐに個体が小さくなって、こんなに小さいものを取っていたらまたただでさえいないのにもっといなくなってしまうわと言って 20日間か休業して」

シロエビの型も小さく、資源管理のため、漁の回数を1日に2回から1回に減らしました。

なぜ地滑りで、シロエビ漁に影響が出たのかー。

松本さん「海底の泥は堆積した細かい泥。それが一回舞い上がると、なかなか沈殿しない。こういうエビ類は泥があまり好きではなくて、えらに入るので。窒息してしまうので、嫌っておそらく(漁場の)海底谷から逃げたのかなと」

シーズン後半に漁獲量が少し改善したのは、海底の状況が落ち着いてきたためではないかと推察しています。

しかしー。

繩井さん「漁を今やっている場所は昔から培ってきたもの。ずっと何年も先代、先々代からやってきた。そこのやり方というか、そういうものを継承してきたんですよね。それが今回の地震で地形がすごく変わったことによってまた新しく、考えながらというか試しながらというか、していかないといけない」

県水産研究所のこれまでの調査では、プランクトンであるシロエビの幼生がほとんど取れない時期もあり、縄井さんたちは「あと2年ぐらいはどうなるか分からない」と話していました。

最終更新日:2025年1月24日 21:49
    北日本放送|KNB|富山[ テレビ ]1ch/[ ラジオ ]AM738kHz/FM90.2MHz