2024年問題 バス会社に大きな影響 富山の現状は
4月から運送業と建設業、医師の労働時間などの規制が強化されました。
いわゆる2024年問題は、慢性的な運転手不足に悩むバス業界に影響を及ぼしています。
路線バスの減便や高速バス廃止の現状。そして運転手の確保に向けての取り組みです。岡田記者のリポートです。
富山地方鉄道が運行するバスの営業所です。
富山地方鉄道 富山自動車営業所 川原雅仁次長
「こういった用紙がございまして、あわせて健康状態の報告書というものがございます」
乗客の安全のため、運転手の健康が大事なバス業界。
労働環境を良くするため、運転手は4月から仕事が終わってから次の仕事までの時間や拘束時間などが変更されました。
川原次長
「乗務員さんが休息といいますか、非常に働きやすい環境になるということについては、非常に評価をしております。ただ言いかえれば、メリットがあれば、デメリットが出てきますので、給与が下がるんじゃないかとか、あるいは収入が減るということに非常に不安を抱えている乗務員さんがいることを 実際に耳にしております」
労働時間の制限は、働く環境の改善につながる一方、バス業界は慢性的な人手不足に悩んでいて、全国のバス会社でバスの減便につながっています。
富山地方鉄道などが運行していた高速バスの「富山ー金沢線」は3月、廃止されました。
路線バスも4月からの運行本数は、3月に比べおよそ1割減少しています。
地鉄バスは運転手が不足する中、市民の生活の足である路線バスを維持するために、利益の大きい高速バスや貸し切りバスを減らすなどして対応しているのが現状です。
富山地方鉄道 総務部人事・労務課 大野木貴吉課長
「どうしても路線バスというのは、ダイヤを減らすっていうのはなかなかできないことです。弊社の場合は貸し切りバスを動かして収入を得ているというところは非常に大きいところですから、やっぱり 貸切バスが動けない、まあ社員の数が少ないことによって動かすことができないっていうのは会社としても非常に問題を意識しておりますので、なんとか人を確保したいという気持ちはありますね」
運転手のなり手を確保しようと3月、富山地方鉄道は運転体験会を開きました。
参加者は現役の運転手の手ほどきを受けながら、順に大型バスを走らせました。
富山地方鉄道に在籍しているバス運転手は、現在187人で30人ほど足りていないということです。
富山地方鉄道 自動車部 林裕一副部長
「今回こういった体験会を通して、少しでも多くの方に、ご応募していただきたいという気持ちを持っています」
富山地鉄は、4月末までに入社が決まった人には、30万円だった支度金を100万円に引き上げて貸与するなど、待遇面も充実させて運転手確保につなげたいとしています。
地鉄総務部人事・労務課 大野木貴吉課長
「男性の職場というイメージを持っておられる方が多いんですけれども、弊社の中では女性の運転手さんも活躍していただいていますので、ぜひ女性の運転手さんも来ていただきたいという風に思っておる次第です」
地域の住民の足を守るために。バス会社の模索が続きます。
修学旅行やインバウンドの需要が戻りつつある中で、貸し切りバスが運行できないのは会社にとって痛手ですよね。
路線バスは生活の足ですのでバス会社だけの問題ではなく、利用者の私たちも一緒に考えていくことが必要です。