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没後50年 翁久允が残した膨大な資料が伝えるもの 16日から企画展 高志の国文学館

2023年12月15日 19:17
没後50年 翁久允が残した膨大な資料が伝えるもの 16日から企画展 高志の国文学館

立山町出身の小説家でジャーナリスト、翁久允。

19歳でアメリカへ渡り現地で多くの小説を発表し、新聞記者としても活躍しました。

帰国後、富山で郷土文化を研究する「高志人」を創刊し富山の文化を支えました。

2023年は没後50年にあたり、高志の国文学館ではあすから久允が残した9000点を超える資料を中心に企画展が開催されます。

この膨大な資料は8年前、文学館に委ねられました。

2017年2月。富山市にある翁久允の旧宅です。

この日。久允が残した資料が高志の国文学館のスタッフに託されました。

久允の孫 須田満さん(東京都在住)
「散逸するのが一番怖い。資料が多くの方々の目に触れる機会を作っていきたいと思います」

翁久允は全10巻の全集と38年に渡って発行した郷土文化雑誌「高志人」399号の他、日記や手紙、絵画など膨大な資料を残しました。

その多くが段ボール箱や衣装ケースに納められていました。

高志の国文学館文学館 小林加代子学芸員( 2017年取材)
「翁久允が富山で果たした役割、それだけでなく世界を見てきたジャーナリストとして、どういう思いで日本を見つめていたのか、その仕事がどういった人との人脈で築かれていったのかを明らかにすることは文化的にも意義があることだと思います」

この時画家の竹久夢二との交流を物語る資料が新たに見つかりました。

1931年(昭和6年)、久允が夢二らと共にアメリカに渡航した際に乗船した豪華客船のディナーで使われたメニューです。

メニューには、久允の自筆で渡航中の様子や家族への思いなどもつづられています。

美術史的にも貴重なものです。

残された資料はおよそ2万点。

このうち、およそ9000点の整理が終わりました。

小林学芸員
「こちらが今整理を進めている資料です。こちらは1973年1月からの日記でして、翁久允が最後に書き残した日記です。毎日どんなことをしていたかが細かく書かれています。翁は自らが主宰した郷土研究雑誌「高志人」に自分の日記を20年以上掲載していました。これが1月4日の日記には当館の館長の室井滋が登場します。ちょうど、ここのところに『室井幸雄、娘と』とありますが、この娘が館長の室井滋です。

高志人ではその時々の状況を詳しく描写していて、翁の文章への誠実さを伺うことができます。

小林学芸員
「一番最後の日記2月13日です。亡くなる前日まで日記を書き続けていたということです」

“日本の日和見主義は問題になるであろう”

久允は、亡くなる直前まで社会を鋭く見つめていました。

休むことなく文章を書き続けてきた翁久允。

資料の「整理」は一つ一つを分類して、採寸。そして整理番号を振って、写真を撮影をした上でデータ化する作業です。

3人がかりでも1日50点ほどしか進まず、地道にリスト化を進めてきました。

小林学芸員
「資料が貴重なものなのでなるべく現物を触らずに状態を確認したりできるように撮影している」

高志の国文学館では、翁久允の収蔵資料のデータベースも16日から公開します。

翁久允は、多くの著名な文化人とも交流がありました。

16日からの企画展では竹久夢二、源氏鶏太、柳田國男などとの書簡も公開されます。

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