「ガラスの街」でなぜ作品撤去?消える屋外展示 富山市
富山市の街なかにあったガラス作品の屋外展示をご存知でしょうか。20年ほど前に市が設置しましたが今年8月までに、ほとんどが撤去されました。
なぜ撤去されたのか、そして「ガラスの街とやま」の新たな取り組みを山田記者がお伝えします。
富山市の街なかにあったガラス作品。
まち全体をガラスのミュージアムにしようという「ガラスの街とやま」ならではの取り組みでした。
市は、1基あたりおよそ500万円かけて15か所に展示ケースを設置。
国内外で活躍するガラス作家の作品が展示されてきました。
しかし…
「富山市の観光名所、富山城です。すぐそばの、こちらでもガラスの屋外展示がありましたが、今は跡形もなくなっています」
市は3年前から撤去を進め、今年8月までに企業から寄付された1基を除く14基すべてを撤去しました。
撤去にかかった費用は900万です。
富山市ガラス美術館 土田ルリ子館長「元々が屋外で展示するために作られた作品ではないんですね。ケース自体も屋外に設置するためのケースではありませんですし。当時はもう少しガラスは強いだろうっていうふうに思われていたと思いますけれども、思っていたよりは難しい事業だったんじゃないかなと思います」
設置から、およそ20年。
車の振動や気温の変化でケースに歪みが生じ、隙間から虫が入るなど展示環境が悪化していました。
今年は能登半島地震でガラス作品が壊れ、過去には作品が盗まれたこともありました。
この屋外展示の役割は何だったのでしょうか。
富山市ガラス美術館 土田ルリ子館長「ガラス美術館を建てる構想が始まってから、皆さんにそれをお伝えする役割としてストリートミュージアムというのが始まっている」
2015年8月22日2015年に開館した富山市ガラス美術館。
「屋外展示」は開館への機運を高めることが当初の目的でした。
美術館が来年で10周年を迎えるにあたり、「屋外展示は役割を果たした」と市は考えています。
一方で、屋外展示に代わる試みも始まっています。
市は今年3月に、富山駅前の商業施設「マルート」と駅北のオーバード・ホール中ホールに展示ケースを設置しました。
地元ゆかりのガラス作家の作品を展示し、ケースの二次元コードから作家の他の作品も見ることができます。
1基あたりおよそ500万円かけて整備していて、今年度はさらに2基増やす予定です。
「ガラスの街とやま」を身近に感じてもらうために新たなシンボルとなるのか。
機運づくりに留まらない役割が求められています。