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【傍聴記】“知人男性を金属バッドで殴って海に突き落とす…”殺人未遂の罪に問われた男(26)の裁判員裁判 27日判決

2023年9月26日 17:30
【傍聴記】“知人男性を金属バッドで殴って海に突き落とす…”殺人未遂の罪に問われた男(26)の裁判員裁判 27日判決
【傍聴記】“知人男性を金属バッドで殴って海に…”

 去年8月、他の男と共謀し、知人男性を金属バットで殴った上、夜の海に転落させたとして、殺人未遂の罪で起訴されている男の裁判員裁判が26日、山口地裁で審理を終え、検察側は懲役5年を求刑しました。男の犯行のいきさつなどについて、これまでの裁判を傍聴した記者が振り返ります。

 起訴されているのは、山口市の携帯電話販売員の被告(26)。起訴内容などによりますと、被告は去年8月、当時仕事でつながりのあった男A(24)(殺人未遂の罪で起訴)と共謀し、防府市の漁港で知人男性(当時31)を殺害しようと、頭などを金属バットで複数回殴って海に転落させ、外傷性くも膜下出血など全治1ヶ月の大ケガを負わせたとされています。

 これまでの裁判の中で、被告が犯行に及ぶいきさつが浮かび上がってきました。以下、検察側の冒頭陳述から事件を振り返ります。

【検察の冒頭陳述より】

 被告は、殺害を決意した男Aに協力する形で犯行に関わっていたとされています。被告に協力を依頼した男Aは、携帯販売員の派遣会社を経営。被害男性とは、以前務めていた携帯販売会社の元上司と部下の関係でした。しかし2人の間には「金銭トラブル」があり、男Aはこれらを理由に殺害を決意。そこで、以前から仕事を与えていた被告に協力を頼むと、被告は男Aに対する「尊敬の念や信頼」からこれを受け入れました。被告はその後、「人をバレずに殺す」などとネットで調べたり、男Aの指示で犯行に使う金属バットなどを購入したりし、男Aと共に犯行に備えました。

 迎えた犯行前夜。被告は、男Aが被害男性を誘って一緒に釣りをしている間、漁港の先で待ち伏せをしながら、犯行の機会をうかがいます。そして日付けが変わった午前2時ごろ、被告は釣り人を装いながら、釣りを終えた被害男性に背後から金属バットで殴りかかり、犯行に関与しました。被害男性はその後、男Aにも金属バットで殴られ海に落とされますが、のちに救助され、なんとか一命は取り留めました。

【検察側は懲役5年を求刑】

 26日に開かれた論告弁論で検察側は、「確実な犯罪遂行のための準備を分担した上で、被告は本件犯行の口火となる、最初の重要な攻撃を担った」「被告の加担がなければ計画自体成立せず、犯行において欠かせない役割を果たした」などとして被告に懲役5年を求刑しました。

 また被害男性の弁護人も「被害男性は事件から1年以上経ったいまでも週に1~2回ほど当時のことがフラッシュバックされ、背後の少しの音でも殴られるかもしれないという恐怖心を抱いている」「被告は男Aから事前に『給与を上げてやる』『休みを多くしてやる』などと言われていたことから、人の命よりも自分の利益を考えての犯行だったと思う」と意見を述べました。

 一方、弁護側は、公訴事実については争わないと主張。「被告はまじめで優しい性格で、恩人である男Aを裏切ることはできなかった」「被告は男Aとは従属的な立場であり、犯行計画は、すべて男Aが考えていたため、犯行時の役割は小さいものだった」などとして、懲役2年6ヶ月(執行猶予4年)が妥当であると主張しました。

 紺のスーツ姿で裁判に望んだ被告。裁判中は常に表情を変えず、下を向いたままじっと双方の主張を聞いていました。審理の最後には、「男性に対して、私が愚かな行為をしてしまったことを本当に申し訳ありませんでした」と反省の言葉を述べました。 

判決は、今月27日に言い渡される予定です。

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