震災の中でも…「漆を続けたい」 復興への願いを込めた卒業作品展
元日の地震で研修所の建物は無事だったものの、漆塗りに欠かせない水が使えず、いまも休講が続いています。
卒業制作の最終段階を襲った地震。
卒業生たちは、その後、金沢美大や富山大学など5つの施設で制作を続けました。
小森邦衛 所長:
「地震の日から数えて128日目。自然は残酷であります。が、また誠に美しいものであります。」
式では卒業生を代表して日野 勇輝さんが「たくさんの人たちに支えられて作品を完成されることが出来た。感謝の気持ちを持ってそれぞれの道に進みたい」と答辞を述べました。
卒業式に合わせ、しいのき迎賓館で開かれている卒業作品展。
被災しても、“漆を続けたい”と制作に打ち込んだ卒業生たちの思いが込められています。
輪島市を流れる「鳳至川」をモチーフとした宝樹 恵さんの作品。
宝樹 恵 さん:
「これまでの輪島の景色が好きだったので、それが今なくなってしまってこれからもどうなっていくかという不安はあるんですけれども自分が何か復興に携わることができたらいいなと思っています」
宝樹さんは輪島に残って漆芸技術を学び続けるといいます。
青みがかった青漆を使ったこちらは長野県出身の小椋 由織さんの作品です。
小椋 由織 さん:
「地域によって漆の乾き方だったりとか制作する場所が違うから環境が変化して体調も崩したりしたんですが、(漆の)本質は変わらないので、それとどう向き合っていくか。すごい勉強しました」
小椋さんは卒業後、実家に戻って家業の木地づくりに携わるといいます。
卒業生たちは輪島の復興を願いながら、それぞれの道に向かって歩み出しました。