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能登の海で何が起きている?能登半島で研究者が海底調査 生き物への影響

2024年1月31日 19:46
能登の海で何が起きている?能登半島で研究者が海底調査 生き物への影響

地震や津波によって甚大な被害を受けた能登半島。その周辺の海は今どうなっているのでしょうか?調査に乗り出した研究者がいます。

こちらは1月23日能登町九十九湾水深10mから20mの映像です。地震の前は砂地の広がる海底だったということですがこの時は岩や石が積み重なりいたるところで山がつくられていました。津波によって運ばれてきたものだとみられています。
撮影したのは金沢大学の調査チーム。この場所には生物の分解の過程を調べるためクジラの骨を設置していました。これが地震前の状態です。しかし地震後バラバラになってしまい頭蓋骨はほとんどが土砂に埋まっていました。この時期は本来ナマコ漁の最盛期ですがこの日、ナマコの数は少なく4匹しか見ることができませんでした。

こちらは地震発生からおよそ20時間後1月2日に撮影した珠洲市。海沿いが黄色く濁っていました。

いま能登の海で何が起きているのか?海底調査を始めたのは金沢大学で海洋堆積物を研究する佐川拓也准教授と深海の生物の進化を研究するロバート・ジェンキンズ准教授です。専用の装置を使い九十九湾や珠洲市沖の海底を筒状にくりぬき堆積物や生物の有無を調べ始めています。2人に話を聞きにいきました。

■ロバート准教授
「今回の地震から1か月経っていない状況でサンプルが採取できました」

■佐川准教授「珠洲市水深7.5メートルのところからとった堆積物ですね一番上、1センチぐらい比較的茶色くて細かい泥の粒子で成り立っている層がこの上に乗っかっている」「近くの河川から流れた土砂が堆積していると思う」

一番の上の茶色い層。これは地震による土砂崩れの泥が海へと流れたものだといいます。今回の調査は珠洲沖、水深5mから67mの間で4か所実施。そのすべてで泥の堆積を確認したいうことです。

「やっぱり泥が完全に上に溜まっていますね」「水抜けた分薄くなっているがこの下にはない泥が上に乗っかっている」

この細かい粒子でできた泥が溜まることで海底の生態系に影響をもたらす恐れがあるといいます。

■ロバート・ジェンキンズ准教授「2枚貝や貝類はエラを通じて酸素を取り入れたりしているがそういうところに泥が詰まってしまうケースがあり酸欠になってしまう。海洋生物のほとんどがエラを使って呼吸しているケースが多いので貝類だけじゃなくていろいろな生物に影響が出ている可能性がある」

ロバート准教授らは今後も定期的にサンプルを採取してどのように海が変化していくのかを調べていく予定です。ダメージを受けた能登の海。しかし2人は必ず回復するはずだと話します。

「局所的にどうしても死滅してしまうようなケースはあると思うが周辺海域には生物の卵や幼生がいっぱいいるわけでそういう生き物がまた戻ってきて新しくもう一度生態系を作り直していくというのはまず間違いなく起きますしそれがどれくらいのスパンで回復していくのかとかはまだわからないのでそれはいまからちゃんと調べないといけない」