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17時間の生き埋めから生還も…120年続いた商売に幕 被災した衣服店 

2024年5月15日 18:31
17時間の生き埋めから生還も…120年続いた商売に幕 被災した衣服店 
珠洲市にある老舗の衣料店が地震で店舗が全壊したことを受け、廃業を決めました。
おとといからは仮店舗で閉店セールが行われ、続々と常連客らが訪れています。
店を営む夫婦の思いを取材しました。

「半額になりますので最後のご奉仕です」
珠洲市の衣料店「サカシタ衣料ストアー」を営む坂下重雄さんと、妻の久美子さん。
元日の能登半島地震で店は全壊しましたが、無事だった商品を運び出し、おとといから仮店舗で閉店セールを始めています。

坂下重雄さん:
「80歳までとにかく頑張ろうと合言葉で頑張っていたんですけど、まさかまさかの地震が、こういう状態になりまして体力的にももう一度店を始めるというのはちょっときついんじゃないかということで」

客:
「布団カバーのダブルある?」
坂下久美子さん:
「ない」
客:
「男物の靴下?」
久美子さん:
「ない」
客:「おや、まあ」
久美子さん:
「ないんです」

重雄さん:
「がれきの下にあるわ」
客:
「ほじくりだす」
久美子さん:
「ほじくり出したいんだけどね」
「もしかしたらおらんかった人やからね。この人も」
客:
「下になって」
久美子さん:
「17時間」
客:
「下敷きになっていた?」

地震直後、全壊した店舗の下敷きになった坂下さん。17時間もの間、生き埋めになっていたといいます。

坂下重雄さん:
「ここにおったんです。ここから引っ張りだしてもらったんですね。レスキューの方が助けにこられて、ここから出て、ここ歩いたんですけどやっと歩けた。両脇支えていただいて無傷で奇跡としかいいようがないですね」

閉店セールは5割から9割引きという破格の設定。
これまで支えてくれた地元のお客さんに恩返しをしたいという思いからでした。

常連客:
「もっと華々しい終わり方もあったかなとも思いますけどとにかくご夫婦仲良くおられるってことがいいんじゃないですか」

体操服を買いに来た母親:
「あんたМじゃちっちゃいなー」
久美子さん:
「Lもあるけど」
母親:
「Lで」
「いいですね」

久美子さん:
「(他には閉店セール)できない店もあるんですよね、潰れてしまって、お客さんに最後の挨拶ができたということが、よかったと思います」
重雄さん:
「最後の日がどうなるか自分で今から心配してもしゃーないですけど最後まで頑張ってつとめようと思っています」

明治時代に創業した先々代からおよそ120年。
珠洲で長年、親しまれてきた店は今月28日、惜しまれながら幕を下ろします。