“障がいのある子ども達を街のまんなかに‼”自然とインクルーシブな社会を目指す事業所
■鹿屋市にある"リトルオレンジズ”
6年前に開設した、代表の日野 尚子さん。小学生から高校生まで、発達障害や自閉傾向など様々な特性をもつ子ども達を受け入れています。
(日野さんと小学生やりとり)
日野さん「こんな難しいこと勉強するようになった?」
子ども「理解できていません」
日野さん「はは!写しているだけ??」
子ども「難しいもん、社会」
日野さん「難しいよね~いいよわかっただけで」
実は日野さん自身も生きづらさや困りごとを抱えて生きてきました。
(日野尚子さん)
「忘れ物が多いとか一生懸命生きているつもりなんだけど本が読めないとか、多動なのでじっとしていられないし空気が読めないし宿題も苦手だし」
日野さんは、子どもたちを決して否定せずありのままを受け入れます。
(日野尚子さん)
「困りを抱えていてもトラブルメーカーだったとしてもすごく頑張って生きているからそれでもいいよ、好きだよと言っているとその子たちが笑顔になっていく」
欠かさず行っているのが、体幹を鍛える10分間のトランポリン。感覚が過敏になっている子どもにとっては日常の動きでは得られない刺激が加わることで、周りからの情報を処理する「感覚統合」の機能を高める療育になります。
子どもたちの可能性を広げたいと、英語を使った療育にも力を入れています。
(子ども)
「Can I have noodle please?」
(中1女子)
「英語とか学んだり、いろいろ楽しい。いろんな外国人の人と話をしたりコミュニケーションとったりしたい」
鹿屋基地に来ていたアメリカ軍の軍人がボランティアで英語を教えに来たことも。さらに、地域の人が参加できるイベントも毎月開催しています。
「うちに来ている子ども達は様々な困りを抱えていたりするが、とても可愛くて素晴らしいところがあるので地域の方とも自然なかたちで交流する機会があればいいな」
この日行われたのは、ゴルフやスポーツを楽しむイベント。参加者の半分は普段通っていない地域の子ども達です。様々な背景を持つ人が集う場所が街なかにあれば、自然とインクルーシブな社会が作れるはずと考えています。
(日野尚子さん)
「関わることがなく知らないと、やっぱり怖いし不安だけど知ってみるとみんなとってもかわいくて美しいので」
■建物の老朽化・・・。それでも明るい話題が!!
開設から6年。多くの子どもたちを支えてきた、リトルオレンジズですが今、新たな問題に直面しています。もともと日野さんの父が衣料品店を経営していたこの建物。
(日野尚子さん)
「先日大きな台風の被害もあって雨漏りをしたり、地震の時にも物が倒れたりしていて」
築35年、老朽化が進むなか台風などの被害を受け、全面改修が必要となったのです。クラウドファンディングなどで寄付を募ってきましたが、改修費用にはまだ遠く及びません。
そうした中、今月、嬉しいことが起きました。リトルオレンジズに新しい指導員が加わりました。山下愛梨さん(20)実は、中学から高校にかけて、 ここに通っていた一人です。
(山下愛梨さん)
「支援学級に行っていると馴染めないことが多かったが、ここの先生は、それを理解してくれていたり、苦手なことにも向き合ってもらえて、自分を唯一理解してもらえる場だと思っていた」
「人と違うんだ」と悩んでいた自分を救ってくれたこの場所に、今度は子どもたちを支える側として戻ってきました。
(山下愛梨さん)
「自分だからこそ分かることがあるのではないか、ここにいたからこそ近い形で寄り添える支援の活動があるのではないか」
(日野尚子さん)
「障がい者施設に訪問しますって言うと、ちょっと緊張するけど、ふらっとトランポリン飛びに来たら、可愛い障がい児の子たちが遊んでいたとか、ふらっと珈琲飲みに来たら障がい者の方が一生懸命珈琲を作ってくれていたとか・・・。人に命令されるインクルージョンではなく、色んな背景を持った人たちが、一緒の空間で楽しむ、そういう空間が心の中から生まれていくような場所にしたい」
“障がいのある子ども達を街のまんなかに“思い描くのは、誰もが生きやすい社会です。
(24年9月26日 KYT news,everyかごしま 放送)