×

【詳細】<4病院再編・議論は平行線>県知事「議論はフルオープンで」仙台市長「県から答えもらっていない」

2023年10月24日 22:32
【詳細】<4病院再編・議論は平行線>県知事「議論はフルオープンで」仙台市長「県から答えもらっていない」
<知事と県内14市長の行政懇談会>

宮城県が推進する「4病院再編構想」を巡り、県内14市長が集う場で意見を交わした村井知事と郡仙台市長。2年ぶりに公の場で「4病院再編構想」を議論したものの、話し合いは平行線に…。詳細は下記の通り<知事と県内14市長の行政懇談会/仙台市内/24日>>

【村井知事「まずは仙台市長から・・・」】

<村井 嘉浩 宮城県知事>
「時間がないので、先に仙台市長、私に色々言いたいこと、お話したいことがあるらしいので、まずは仙台市長から言ってもらって、他の市長の意見を聞いて、私の考え方をお話したい」

<郡 和子 仙台市長>
「懇談会全体の進行もある中で、いま知事からご指名頂いたので本市の考えを簡潔に申し上げたい。本市はこれまで4病院再編に対しまして、各政策医療に関する課題ですとか、懸念をお示し致しまして本市が持ってるデータをもとに、仙台医療圏全体・県全体にどのような影響を与え、それから政策医療の課題解決のどのようにつながっていくのか、ぜひ根拠に基づいた説明をしていただきたいというふうに申し上げてまいりました。
 しかしながら、残念なことに私自身十分な回答を頂けていないと認識しています。私自身がこの問題これまで、反対ということは申し上げたことはございません。それがただいま申しあげました通り、県からの説明がなくて評価のしようがないことだからなんです。仙台市内2つの病院が関係している構想でございます。私としても市民の皆様方に説明する必要があるけれども、それもできないままでいるわけでございます。こうした中で、特に精神医療センターに関する様々な動きがこの秋にかけてございました。そのことを受けて、9月に申し入れを県にさせていただきました。これに対しまして、伊藤副知事から本市の藤本副市長に対して、回答はいただいたんですけれども、その回答は説明を尽くされている風とは言い難かったかったものですから、今月12日に本市の見解を改めてお示しをさせていただいたところです。私はこうした経過も踏まえまして、知事と私と、ぜひ、見解や趣旨、それから考えをお伝えしたいと思いまして、申し入れをさせていただいたものでございます。このような場でお話をしろという風なお話でしたので、それでは私自身の思いというものをちょっとお話をさせていただきます」

【県は明確な説明を…「知事と腹をくくって話をしたい」】

<郡 仙台市長>
「精神医療につきましては、仙台市長は県知事と同様に措置入院の権限を有しておりまして24時間の救急の受け入れ体制を県と共同で整備をして、必要な経費を支出するなど本県の精神医療分野で長年に渡って一定の役割を果たしてまいりました。その立場から現在の状況を深く憂慮しまして、先般、協議を一旦停止をして必要な時間をかけて再検討すべきではないかという見解をご提示したものでございます。センターと患者さん、支援者さん、長い年月をかけて地域の理解を得ながら構築した〝にも包括〟支援体制に深刻な影響を与えながら、なぜ富谷市に移転合築させなければならないのか。また、移転先でどのような新たな体制を構築されていきたいと考えておられるのか、とか県民の皆様方も、その点については知りたいとをお考えだという風に認識しておりまして、明快な説明を頂きたいと考えているわけです。
 それからこの間精神医療に関する対応状況を見ておりますと大変申し訳なく思うが、県は私どもが提示をさせていただいた救急医療などの政策医療。仙台市は救急体制の様々なデータをもとに県に考えを伺う事をさせていただいてきたわけですけれども、このことにつきましても、県全体としての具体的な根拠とか、裏づけを持たないまま救急体制は仙台市は軽くなるだろうという見解が示されているわけでして、どのようなの数字をもとに、データをもとにそのような結論を導き出しているのか、私はちょっとわからなかったわけでして、このことについても、憂慮しているところです。
 このようなことから、4病院の構想全体についても性急なことの進め方ではなくて、各政策医療に与える影響など詳細に分析して頂いた上で、その結果をぜひ明らかに示して頂いた中で、慎重に丁寧に進めていくべきではないかということをこの間、提示させていただきました。仙台医療圏、ひいては県全体の医療提供体制をどのようになさるのか、先ほど県南の医療提供体制について角田市長からもありましたが、全体の医療政策の課題解決をどのように図ろうとしておられるのかを明らかにして、県民あるいは関係者など共通の理解のもとで、検討を進めていただきたい。そのように思い、ぜひ知事と腹をくくったお話をさせていただきたいと思っていた所でございます」

【他市長からは「賛成の声」仙台市の立場は…】

<郡 仙台市長>
「各市長のお話はよくわかります。私自身も老朽化の問題とか、病院の経営の問題、少子化が進み高齢化が進んでいる社会において、どのように未来に向けた医療提供体制を構築していくのかは重要な課題であり、その最大の権限を持つのは知事はであることはその通りだと思っている。ただ今回私どもの2病院、仙台市にある2病院ということになったものですから、そこについて色んな疑問をこの間、届けさせていただきまして、明快な回答を頂きたいということで、その間来たわけです。きょう示されている県政だよりの資料はそれはその通りだとは思うんですけど、しかしその根拠になるデータなりがありませんと、どういう風に理解していいのかということについて賛成とも反対とも評価できないで皆さんおり、また地域住民への説明もできかねているということです。
 先輩方もいらっしゃる中で、政治の要諦は調整力であるというふうにも私考えているんです。その調整力を発揮していただきませんと、今回のようなこういう状況にもなりうるのではないかと思っておりまして、ぜひ知事には調整力をもって、牽引力のみならず調整する力も発揮していただきたい。そうでなりませんと私どもといたしましてもなかなか…なんでしょうか。市民の皆様に説明もできかねますし、これを前に進めていいという風な判断にもなかなかならないということを申し上げたいという風に思います。
 大変、こういう平場でこのような話になりまして、私自身は仙台市の持ってる意識、あるいはデータということについてどのようにお考えになっているのか、詳細にお尋ねしてきたところしたが、県からの状況については残念ながら仙台市や仙台市民が納得できるものではなかったものですから、この間状況の説明にも苦慮しているということを申し述べさせていただきたいと思います」

【なぜ「4病院再編」を進めるか 知事が示す〝4つの理由〟】

<村井 知事>
「もう時間がなくなったので、私からまとめをさせていただきたいと思います。まず皆さんのお手元に県政だよりを配りました。今年の7月8月号です。時間がないのでもう説明いたしませんが、このような状況であるということです。郡市長に改めてお話したいのは、大局的にみてこの問題を何で私が取り組んだかということ。4つあるんです。
 1つは精神医療センターが非常に老朽化してたんですけど、土地がないんです。なかったんです。どうしようもなかったということ。
 それから、色々審議会皆さんの結論が、合併症への対応、がんに対しても精神科にしても対応しなきゃいけない。それでお見合い相手を東北大学さんに相談しながら探したところ、日赤さんと労災さんということでお見合いが順次進んでいるということであります。
 3つ目は救急搬送時間です。残念ながら、私が知事になったときは全国で46位とか45位だったんです。いろいろ工夫して今は30位代後半まで持ってきたんですけども、最大の欠点はやっぱり名取から南、そして黒川。この地域の救急搬送時間が非常に長いという課題。そういったようなものを仙台医療圏の課題を解決しなければならないと考えました。
 あわせて、先ほどどなたかから話ありましたけれども、仙台市内に急性期の病院があまりにも集まっています。この藤森先生の2枚目を見ていただきたいんですけれども、ここに書いてかいてございますが、黄色に塗りました。ここ読ませていただきますと『今回の再編は、医療拡大していた時代に、仙台市内に集中していた病院を広域に分散するという狙いもあります。病院間の過当競争を緩和することで、市内の病院にもメリットがあると思いますし、何より救急医療などの空白地帯を埋める広域化は、住民はもちろんのこと、我々医療関係者から見ても非常にメリットのあることだと捉えています。再編の対象になる病院にとっても建物の老朽化が進んでいることを考えれば、仮に再編とならなくてもいずれは立て替えが必要となります。現在地に立て替えが難しいとなれば移転するしかありませんし、新天地での経営に活路を見出すことも理解できます。現地での経営に固執して、結果的に病院が立ち行かなくなってしまえば結果的に県民にマイナスとなってしまいます』こういう風に書いてあるわけですね。ちょっと市長に私も質問したいんですけれども、仮に仙台市内の急性期の…」

<郡 仙台市長>
「(知事の発言に割り込み)私どもこれからもお昼を取って、そのあとも時間がございますけれども、このままこういう形で進行されるのでしょうか?」

<村井 知事>
「もうすぐ終わりますけれども。私が聞きたかったのは、例えば仙台市内にこういった急性期の病床が将来なくなっていくと私は思うんですよ。無くなっていくときに仙台市は何らかの支援策を考えられるのですかということですよ」

【2年ぶり公の場も…「4病院再編」議論は平行線】

<郡 仙台市長>
「私どもが当該の3病院に対して、毎年補助を行わせていただいております。それは知事もご承知のことだろうと思います。そのほかについて私どもは市立病院も持っているわけですけれども、そのほかにも救急体制の強化のために、市民の皆様の命と健康を守るために、県の病院であっても民間の病院であってもそのようにさせていただいている」

<村井 知事>
「違うんです。ランニングコストじゃなくて、病院が立ちいかなくなってしまったときに建て替えをするとか、あるいは移転するといったときに仙台市はそれに対してかなりの財源が必要になるけども、そういったことはできるんですかと聞いているんです。ランニングコストの話はしていないんです」

<郡 仙台市長>
「それが今回のこの件について、私大変申し訳ないんですけど、こういう議論をこういう場で…」

<村井 知事>
「(市長の発言に割り込み)こういう場でしないとだめだと思いますよ。こういう話は、内々、うちうちで話すんじゃなくて、それこそ逃げているって言われると思いますよ」

【「仙台だけゴネている」そう捉えられるのは遺憾】

<郡 仙台市長>
「申し訳ありません。それは今回の構想に対して、私どもが知事に対して、宮城県に対してこの件についてどうお考えになるんですか、ということについて明快なご答弁がなかったものですから、せひこの件についてはご回答いただきたいということでこのあいだ来たわけです。それで今、非常にあの時期を見ておられるのかどうかわかりませんけれども、私自身が知事と直接お会いをしてお話させていただきたかったことも、この場で、全市長がそろった中で、まるで私自身が〝仙台市だけ何をゴネているんだ〟という風な捉え方、捉えられ方をされるのは甚だ、私自身は遺憾に思います」

【賛成意見にも耳を…仙台だけの問題じゃない】

<村井 知事>
「いや、これは仙台市と県だけの問題ではなくて、宮城県全体、仙台医療圏全体の問題なんですよ。ですから、私のところに何か言って帰った後に〝知事は全然前向きな答えが得られませんでした駄目でした〟って記者の前で喋られてですね、それで市民の皆さんにどういう話をしてもちゃんと伝わらないと思うんですよ。やっぱりちゃんと話をしなければいけないと思います。あんまり時間はないので、とにかくまず、私はですね。今回の(仙台市が県に提出した)見解を配っていいですか?配らない方がいいんですか?(仙台市側に配布の可否を確認して)配ってはいけないんですね。じゃあ配りません。
 この見解っていうのを見て私は驚きました。正直申し上げて、これは反対されてる市民団体のおっしゃってることをしっかりと書き込んであるんですよ。市長に言いたいのはですね、仙台市内の市民の中にも藤森先生のような方もおられますし、私のところには、この問題を前向きにとらえる市民の方も沢山おられるんです。よく私も〝人の意見を聞け〟って言われるんですけどもね、市長も反対される市民団体の旗頭のようなこの文章だけではなくてですね、是非ですね、賛成されてるようないろんな人のご意見に耳を傾けていただきたい。その上で発言していただきたいということを強くお願いしたいというふうに思います」

【「知事は誤解している」特定団体の声ではない】

<郡 仙台市長>
「あの、知事は誤解をされています。先ほど冒頭で申し上げましたけれども、仙台市は知事と一緒にですね、仙台市長と知事は措置入院の権限を有しているわけなんです。長年にわたって精神医療提供体制については、連携して取り組んでまいりました。残念ながら今回、精神医療センターを富谷にもっていって合築をするということですけれど、その場合は例えば、違う運営主体がどのように連携をされるのかということについてもお返事をいただけておりません。そういう意味でこれまで取り組んできた医療提供体制に、もしかすると大きな遺恨を残すようなことになってはいけないという思いでお話をさせていただいているものでございまして、特定の団体の声を持って行ったものでは全くないということ。知事は誤解をなさっているので、そのところだけははっきりと申し上げたいと存じます」

【密室ではなく「フルオープン」みんなで決めるスタイルで】

<村井 知事>
「この見解、皆さんにお配りできないので…時間がないのでやめましょう。市長にぜひお話、最後に1つだけお願いしたいんですけど。私と2人で個室で会って、密室で会ってではなくて、ペーパーのやり取りで県に出して、仙台市が納得いかないではなくて、ご意見をしっかり受けとめなきゃいけないと思ってます。当然、仙台市の市長としてのご意見色々あると思いますので。ただこの問題は、先ほど言ったように仙台医療圏全体の問題ですから、何かあるときには仙台市の市長としてご意見を頂く場を設けます。そこには、私と市長だけじゃなくて仙台医療圏の市町村長さんがみんないて、みんなで話し合いながら、私が独断専行で何もかも決めているではなく、みんなで決めていくというスタイルをこれから設けていきたいと思っていますので、遠慮なく色んなご意見を言っていただくのは結構ですが、ぜひ宜しくお願いします。その時はマスコミもフルオープンで、マスコミの方もいる前で市長の主張をしっかりと、市民の皆さんに聞いていただければいいのではないかなと。こちらからは以上です」

*【宮城県が進める4病院再編構想】*

「東北労災病院」と「県立精神医療センター」を合築して富谷市に。
「仙台赤十字病院」と「県立がんセンター」を名取市に統合する計画。
仙台市から見ると2つの病院が他市に移ることとなる。