村井知事「夢にも思っていなかった」台湾の半導体工場建設が白紙 大衡村からも落胆の声
村井知事
「東北の経済界、宮城の経済界、県内の市町村、県民の皆様が大変大きな期待を寄せていました。まさかこのような形になるとは夢にも思っていなかったので大変残念に思います」
大衡村への半導体産業の誘致は全国31の自治体と競争の中から勝ち取ったものだった。
台湾の半導体大手PSMCの大衡村への工場建設については先週金曜日、共同で進めてきたSBIホールディングスがPSMC側からの申し出により共同事業の解消したと発表していた。
見込まれていた工場建設への投資額は宮城県の1年の予算に迫る8000億円。
雇用は約1500人と大衡村を初め経済界からも大きな期待が寄せられていた。
大衡村の住民
「もうビックリの一言です。工場が出来れば人口も確実に増えるという事で、 この辺も活性化してくるんじゃないかなと思いました…」
農産物の直売所ではこんな声も
万葉・おおひら館 小川豊明さん
「台湾の特産品を集めてフェアを やるつもりでいましたので、非常に残念です」
大衡村でも見込まれる渋滞の緩和に向け、国道の4車線化の要望活動などを行ってきただけに村長からは落胆の声が聞かれた。
大衡村 小川ひろみ村長
「まずは驚いた事、そして残念という部分ですね。やはり大きな企業が来るという事で様々な整備部分がありましたので、それについていろいろと村の方でやっていた部分がありますのでそこの所についてやはり…ですね。」
専門家も半導体産業はすそ野が広く経済への期待は大きかったと話す。
七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席エコノミスト
「この事業が今後10年20年の県内経済の牽引役として期待されていただけに、それが急になくなったことの衝撃は大きい」
半導体産業は政府も支援する成長産業で、別の台湾大手が進出した熊本県では関連企業の進出などから土地の需要が急上昇していた。
七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席エコノミスト
「熊本では、TSMCの工場の近くが30%も上がっているところもある。まさに半導体バブルというような高い伸びを見せていた。その期待がしぼんでしまうことになりかねない。宮城でも様々な建設投資が期待されたので、それに反応して大衡村でも基準地価が11.5%上昇している地点もあった」
30日、村井知事は半導体産業振興として今年度の県予算に計上している費用については見直す方針を示した。
村井知事
「ただ幸いなことに工事を発注したり、着手したりということはしていない。私が知っている限りでお金が大きく動く状況には至っていないので、今回の内容をしっかり整理した上で今後どうするのかを考えていきたい。企業誘致というのはどうしても色んな事情で途中で止まってしまうということはありましたので、これで諦めることなく、引き続き半導体にのみならず色々な企業誘致をがんばっていきたい」
またSBIホールディングスでは今後も県内で半導体関連事業の立ち上げにむけて、新たなパートナー候補と協議を続けるとしている。