【特集】全国で1万人超え…感染者数急増する『梅毒』 どんな病気なのか?防ぐためにはどうすればいいのか?「患者自身も気づきにくい」
今、感染者数が全国的に急増している『梅毒』。
『梅毒』とはどんな病気なのかー。
防ぐためにはどうすればいいのかー。
口の中や手のひらに広がる発疹。『梅毒』に見られる代表的な症状だ。
『梅毒』とは、「梅毒トレポネーマ」という病原体が引き起こす感染症で、空気感染ではなく主に性行為によって感染し、場合によっては1回のキスでうつることもある。
いま、『梅毒』の感染者数は全国的に急増している。
宮城県内でも、年々報告数は増えていて、今年は12月10日時点で161件と、いまの統計となった1999年以降“過去最多”となっている。
宮城・多賀城市で『梅毒』などの治療を行うクリニック。
おおしろファミリークリニック・音羽孝則院長
「我々も『梅毒』で治療される患者さんは、実際増えています」
『梅毒』にかかると、まず感染から早ければ2週間程度で、陰部や口の中にえぐれた傷のような症状が現れる。
そして、数か月後には全身に赤い発疹。
最終的には心臓や脳などに影響するが、医療技術が進んだ今では稀なケースで、それよりも問題視されていることがある。
おおしろファミリークリニック・音羽孝則院長
「難しいのは痛みがないんですよね。患者さん自身も気づかれないことが多いです。さらにこれは勝手に症状が改善します。それがちょっと難しいところで、受診に繋がらないのが難しい」
患者のうち、4人に3人は全身に発疹の症状(2期)が出ることはなく治ったような状態になるが、無症状でも病原体を持っているため、これが感染を広げる要因となっている。
そして、さらにー。
おおしろファミリークリニック・音羽孝則院長
「我々業界内では、The Great Imitator(=偉大なる模倣者)というぐらい、 いろんな疾患に似る。正直いうと他のケースに誤診されているケースが多いと思います」
発疹の症状がほかの病気と似ていることから、『梅毒』とは違う診断が下されるケースもあり、母親にとっては自分が感染していることに気付かないまま、おなかの赤ちゃんにうつしてしまう『先天梅毒』が問題になっている。
広がる『梅毒』に対し、宮城県も対策に乗り出している。去年から、数量限定で郵送検査キットの無料提供を始めた。
宮城県 疾病・感染症対策課 小林久瑠美さん
「こちらが郵送検査のキットになりまして、申込みいただくとこれが検査会社の方から届くものになります。開けていただくと、中に小さな針が入っておりますので手にやってもらってぷちっと刺していただくと血がでてくるのでこのままこのろ紙に染み込ませていく」
誰にも会わず、検査結果はインターネット上で確認することができる。
「自分が感染しているかもしれない」
まずはその意識づけを第一に、正しい知識と対応で『梅毒』と向き合うことが必要だ。
増加の要因について、県などは確定的なデータはないが、マッチングアプリや路上買春など不特定多数の人と接点を持つ機会が増えていることが一因にあるのではないか、と指摘している。
また音羽院長によると、郵送検査キットは「感染から2カ月程度経たないと陰性と出てしまう可能性がある」ことや「以前感染したことがある人は陰性の場合でも陽性がある」という。思い当たる症状がある場合は自己判断せずに医療機関の受診を勧めている。