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【震災12年6か月…防潮堤が未完成】復興事業 気仙沼では5か所<宮城>

2023年9月29日 20:00
【震災12年6か月…防潮堤が未完成】復興事業 気仙沼では5か所<宮城>

復興事業として始まった防潮堤の整備は、東日本大震災から12年6か月あまりが経過した現在も気仙沼市内の5か所が未完成。このうち、県が担当する4か所では、国の復興予算の期限が過ぎた中でも工事が続けられている。

<8月末時点の進捗率>
▼鮪立漁港/「87%」
▼魚市場前地区/「85%」
▼大浦・浪板地区/「82%」
▼日門漁港/「49%」

4か所合わせた工事費用は26億円あまりで、その半分ほどが県の負担になる見通し。
残る1つの未完成の防潮堤は、気仙沼市が主体となって整備する岩井沢漁港。

「住民合意形成」「資材不足」「新型コロナ」 遅れの理由は様々・・・

今月27日、気仙沼市唐桑の鮪立漁港で説明会が行われ、住民およそ30人が参加した。

<宮城県・気仙沼地方振興事務所 水産漁港部 齋藤 秀一 漁港整備専門監>
「新型コロナウイルスによる人手不足ですとか、資材不足に伴う進捗の遅れなどが主なものでございまして、工事の進捗に不測の日数を要したこととなります。このような事情があり、昨年度末の完成に至ることができませんでした」

県は工事が遅れた理由について、新型コロナの影響のほか、住民合意の遅れや設計見直しを挙げて住民に理解を求めた。
また、最新の数字で「87%」の進捗となっている鮪立漁港の防潮堤は、今年度中に完成予定。住民からは、街灯の設置を求める意見などが出された。

【完了時期「未定」の場所も・・・住民説明会で出た意見は】

一方、進捗率が「49%」となっている気仙沼市本吉町の日門漁港。防潮堤背後地のかさ上げなどを巡って、住民や国との協議に時間がかかり、工事が始まったのは2020年11月となった。県は工事完了の時期を住民に示せていない。

住民は「不満だらけ。当初は2年で全部完了するような説明があった。一刻も早く作ってほしい。自然災害がいつ来るか分からない」と話す。
同じく、完成時期が示されていない「魚市場前地区」と「大浦・浪板地区」では順次、住民説明会が開催される予定。