「感染症疑いの人がどんどん増えている」被災地で拡大する感染症の懸念…専門家が見た現状《長崎》
能登半島地震の被災地では避難所での感染症の流行が懸念されています。被災地で支援に当たった専門家に現地の状況を聞きました。
能登半島地震から9日。犠牲者は200人を超え、100人以上の人が安否不明となっています。(9日午後2時現在)
石川県では、8日時点でおよそ2万8000人が避難生活を送っていて、避難所では衛生面を心配する声も上がっています。
(泉川 公一教授)
「水が出ないところが多くてトイレの対応が難しかったり、集団生活を送っているので、呼吸器感染症、インフルとかコロナとか、ノロウイルスの感染症疑いの人が時間を追うごとにどんどん増えてきている」
避難所での感染症拡大を懸念するのは、日本環境感染学会のメンバーで長崎大学病院の泉川公一 教授です。
3日午前に被災地入りし、6日には金沢市から輪島市に向かいましたが、道路陥没や交通網の寸断で往路は3時間、復路は7時間かかったそうです。
人やモノなど必要な支援が被災者の元に届いていないと指摘します。
(泉川教授)
「今はまだ混乱期で、どこに何が足りないかが隅々までわからない状況。ただ断水しているのはどの避難所も同じような条件なので、アルコール手指衛生剤や消毒薬などがどこも枯渇してきている状況と予想される」
泉川教授は、2016年に発生した熊本地震でも避難所の感染症対策にあたりました。
(泉川教授)
「(熊本地震の被災地より)こっち(能登半島)の方が全然広い。半島の首根っこの所の動脈が詰まっている感じで、人と物が自由に行き来できない状況。解消されればいいが条件が悪い」
断続的に降る雪も、被災地をさらに苦しめています。
七尾市ではきのう最大13センチの積雪に。
(泉川教授)
「水もない、電気もない、暖を灯油ストーブでとっている所が多かった。灯油も尽き欠けているところもあって、夜も凍えながら寝るということになるので災害関連死が危惧される。軽装備で行くと二次災害、遭難する可能性もあると感じるぐらい過酷な所だと思う」