「被爆体験者」新たな医療費助成制度が来月スタートも “当事者ないがしろ” と市長に訴え《長崎》
国が定める被爆地域の外で原爆にあった「被爆体験者」への新たな医療費助成制度についてです。
制度の開始は来月1日からで、これまでの「精神疾患の発症」という要件が撤廃され、脳血管障害や循環機能障害など、11種類の病気の診断があれば医療費が助成されます。
がんへの助成は、胃がんや大腸がんなど7つに限られていましたが、すべての種類が対象に。
また 現在は対象外の “原爆投下時に胎児だった人” にも支給されるということです。
被爆体験者らは5日、長崎市の鈴木市長と面会し、根本的な解決を訴えました。
長崎市役所を訪れた被爆体験者と支援者。
鈴木市長と面会し、事前の協議や説明なく、新たな医療費助成事業が始まることについて「当事者をないがしろにした暴挙」として、抗議しました。
(鈴木長崎市長)
「しっかりと受け取らせていただきます」
また 国や県と市、原告当事者など 6者による意見交換の実施や、被爆体験者は被爆者だという原点に立った解決を要請しました。
(鈴木長崎市長)
「国が基準を定めていて、こちらがとれる選択肢は限られている。そういう中で苦渋の選択になってしまって 本当に申し訳なかったと思っている。引き続き、皆様と一緒になって行動していきたい」
(被爆体験者 岩永千代子さん(88))
「私たちはいつまでたっても差別されている。市長はとても優しくおっしゃったが、被爆者であると実現するまで、私たちは死ぬまで闘います。真実を求めます」
市は、医療機関に対する説明会を開くとともに、被爆体験者には文書で制度について周知するということです。