新制度に受刑者は? 来年6月に刑法改正で懲役刑と禁固刑が一本化し「拘禁刑」 鳥取刑務所で今年1月から試験的に始動 受刑者に合わせた処遇で社会復帰を支援
来年6月懲役刑と禁固刑が一本化され、「拘禁刑」が導入されます。約120年ぶりの刑罰の変更で何が変わるのか。準備を含め、刑務所の今を取材しました。
明治以来の刑罰の変更となる「拘禁刑」の創設。現在の「懲役刑」では、刑務作業の比重が重く、社会復帰のための教育など難しい現状があります。また、「禁固刑」には刑務作業の義務はありませんが、受刑者の約8割が、希望して作業をしているといいます。こうした実情に合わせ、制度の大転換が決まりました。
拘禁刑の導入まで1年に迫った鳥取刑務所ではー。
鳥取刑務所 上席統括矯正処遇官
「当所は、福祉支援課程のモデル庁として指定されております」
受刑者の再犯防止や就労支援を目的に、鳥取刑務所は新しい制度が今年1月から試験的に始まりました。面接や指導などを通して、受刑者1人1人の特性に応じ処遇を決めるというものです。例えば、高齢だったり、認知機能が下がったりしていて一般作業が困難な受刑者を対象にした工場ではー。
鳥取刑務所 上席統括矯正処遇官
「足が悪い人は、椅子をもって転倒しないように」
ここでは、窃盗などで捕まった50歳から91歳までの受刑者5人が参加し、手足の上げ下げなどトレーニングを行っています。運動や心肺の機能を高めるなど健康を確保することで出所後の社会に適応しやすくする狙いです。
知的障害や精神障害のある受刑者にも、個性を踏まえて柔軟に対応していきます。専門職員の育成や新体制の準備で現場の負担は増えていますが、効果は出ているといいます。新たな取り組みに対し受刑者はー。
受刑者
「一般の人と一緒だとついていけない部分があって、こういうところだと気を配られてありがたい。あとちょっとでできるというところができないが、そういうところができた時が達成感があります」
「福祉事業が入った方が安定して工場就業が動いていきます。出所したらB型事業所とかそういう関連の仕事に回りたいと思います」
犯罪に対する「刑罰」から受刑者の更生に舵を切る拘禁刑の導入。受刑者と向き合う職員は何を感じているのでしょうか。
鳥取刑務所 上席統括矯正処遇官
「受刑者の特性を理解して処遇をどうしていくか考える。いろんな専門性のあるスタッフと一緒に考えて処遇をしていきます」
拘禁刑の導入で大きな転換点を迎える刑務所の現場。まだまだ課題はありますが、受刑者の社会復帰を支援するため模索が続きます。