自転車並みの「のろのろ台風」に山陰各地は困惑… 130人の宿泊キャンセルや出魚式中止 仮設道路の通行止めに住民からは不安の声も
九州をゆっくりと横断し、8月30日夜から31日にかけて山陰地方に最も近づくとみられている台風10号。この影響で30日午後を中心に山陰地方でも雨が強まりました。
午後3時半の島根県松江市ではー。
三好亜美 記者
「先程から雨風ともに徐々に強さが増してきています」
30日午後4時までの24時間降水量は
(島根県)
津和野 94.5ミリ
益田 67.5ミリ
松江 35ミリ
などと局地的にまとまった雨が降りました。台風10号は、時速15キロと自転車並みのスピードで移動。そんな「のろのろ台風」に困惑していたのがー。
松乃湯 道浦一 マネージャー
「最後の週末にかけてキャンセルが増えたので、売上的にも打撃を受けて寂しい状況です」
島根県松江市の玉造温泉にある旅館です。夏休み最後の1週間はほぼ満室の予約状況でしたが、今回の台風で一変。8月25日ごろから全体の8割となる合わせて130人の宿泊がキャンセルになったというのです。そのため温泉街の通りも閑散とした状態に。
高井和代 記者
「チェックインの時間帯ですが、通りには人の姿はほとんど見られません」
台風がゆっくりと進んでいるため、今後のキャンセルの見通しもなかなか立たないといいます。
松乃湯 道浦一 マネージャー
「今回の台風は進路も決まらなかったので、お客さま自身も(予約かキャンセルか)決めかねたと思います」
また、鳥取県境港市の境漁港を訪ねてみるとー。
境港市水産商工課 佐々木雅史さん
「皆さん(漁業)関係者の安全第一でセレモニーが出来ないのは残念ですが、(台風は)まだ予断を許さない状況なので、何も被害が無ければいいと思っています」
秋の訪れを告げる日本海の味覚、ベニズワイガニ。9月1日の漁解禁を前に8月31日に出漁式が行われる予定でしたが、台風の影響で中止となりました。境港を拠点にベニズワイガニ漁に出漁する漁船は10隻ありますが、それぞれの漁船が、台風の進路状況を見て判断し出漁するということです。
さらに台風の影響はこんなところにもー。
7月の大雨で県道が崩落した島根県出雲市の日御碕地区。仮設道路で緊急車両や住民の車のみ、通行が許されていましたがー。
三好亜美 記者
「日御碕地区の仮設迂回道路。台風10号の影響で大雨が見込まれるため、今晩から通行禁止となります」
二次被害が出ることを防ぐため、う回路を30日午後9時から朝7時まで計画的に全面通行止めとします。ただ、雨量が増えると通行止めが長引く場合もあるため住民からは不安の声が聞こえました。
日御碕の住民
「買い物から帰ったところ。今夜あたりから(雨などが)すごいといっていたので、準備のために買っておかないと。(通行を)止められるとまた出られないので」
暴風域は消えたものの、いまだゆっくりと日本列島を横断している台風10号。今後予想以上に発達した場合は、警報級の大雨となる恐れもあります。今後の情報に注意しながら土砂災害、浸水害、河川の増水などに十分警戒してください。