全国的なコメ不足 スーパーではレトルトご飯の販売を強化 去年の同じ時期と比べ4倍の売り上げ 鳥取県
いま、全国的にスーパーなどでコメが店頭に並んでいない「米不足」が続いています。山陰での現状と今後の見通しを取材しました。
全国的に広がっているコメの品薄問題。昨年度産のコメが例年に比べて少ない中で、頻発する地震や台風に備えてコメを買いこむ人が増えたほか、お盆休み期間中に県外の人や観光客が購入したことなどから、鳥取県内でも小売店でコメが不足している状況が続いています。
こうした状況を受け、8月26日に大阪府はー。
大阪府 吉村洋文 知事
「大阪府の緊急抽出調査においても8割のスーパーなどの小売店で在庫がない。政府の備蓄米の解放の要望を農水省に提出しました」
コメの流通状況を改善するため、政府に対し政府備蓄米の放出を要望しました。
備蓄米制度は、1995年から法律により制度化されていて、国は10年に1度の不作にも供給できる量である91万トンを備蓄しています。一方で、要望を受けた坂本農林水産大臣は、9月には順次品薄は回復していくとの見通しを示した上で、消費者には「必要な量だけ買うなど、落ち着いた購買行動をお願いしたい」と備蓄米放出には慎重な姿勢を示しました。
しかし、8月27日に首相官邸で開かれた食料安定供給に関する会合ではー。
岸田文雄 首相
「農林水産大臣においては、消費者の立場にたってコメの流通不足の懸念に対処し、引き続き市場を注視し、円滑な流通に取り組んでください」
岸田総理はコメの不足について「流通不足の懸念に対処する」よう坂本農林水産相に指示しました。コメの購入制限がかけられているスーパーもあり、多くの消費者が困惑している現状。
こうした中、鳥取市の状況はというとー。
濱中裕一朗 記者
「鳥取市のスーパーに来ています。こちらの棚には普段はお米が並んでいますが、今は欠品となり、入荷も未定となっています」
鳥取市のスーパーでは、コメの売り場が空に。購入数を制限する表示もありますが、商品は並んでいない状況です。
エスマート田園町店 有澤弘幸店長
「7月の後半からだんだん商品が薄くなってきたと感じております。いま現在もまだ7月の後半は商品もあったんですけども、ほとんど入ってこないという状況になっております」
8月中旬には、商品が欠品してしまったということです。そんな状況に来店客は…。
来店客
「あそこもないな、ここもないなっていうのはこの間からちょっと感じてます」
「朝から2店舗回って3店舗目なんですけどなくて。子どもが小さいので、なんとか子どもの分と主人のお弁当の分はなんとか確保したいなっていう感じで」
そこで、この店舗ではー。
エスマート田園町店 有澤弘幸 店長
「お米が不足というところで、レトルトご飯の方の販売を強化させていただいております」
普段、レトルトご飯が並んでいる場所に加え、コメを置いている棚の横にも売り場を設置。鳥取産のコメを使ったレトルトご飯の売り上げが、去年の同じ時期と比べ、4倍になっているといいます。現在は、レトルトご飯で来店客への対応を行っていますが、今後についてはー。
エスマート田園町店 有澤弘幸 店長
「いつもでしたらこれから新米が出てくるということがありますので、9月の後半から新米が出てくるということを期待しております」
販売店でも困惑と工夫が続いています。このような事態を受けてコメの生産者にもこんな声がー。
八頭船岡農場 大谷誠一 代表理事専務
「都会の親戚なんかから、コメが残ってないかという電話を受けたりというのはありますね」
「きぬむすめ」を生産する鳥取県八頭町の八頭船岡農場。先週には近隣の直営所でもすぐにコメが売れてしまったということです。新米の状況については…
八頭船岡農場 大谷誠一 代表理事専務
「生育のほうはまずまずだと思います」
取材した農場では85トンの「きぬむすめ」を生産。近づく台風の被害が心配されますが、根がしっかりした品種のため影響は少ないとみられ、10月中旬から順次収穫予定だということです。
鳥取県によりますと、県内のコメ卸売業者にはコメの在庫があり、新米の出荷を見据えて計画的に出荷している状況だということです。本格的に新米が出回る9月中旬から下旬にかけてコメ不足は解消する見込みだとし、冷静な対応を求めています。