【特集】創立百周年 浅虫の海で地域に貢献 東北大学浅虫海洋生物学教育研究センター
青森市浅虫にある東北大学の研究施設が来月創立百周年を迎えます。かつて水族館もあったこの施設。浅虫の地域と共に歩んできたその歴史を振り返ります。
豪快なジャンプが人気のイルカショー。県営浅虫水族館は子どもを連れて訪れたり学校の遠足などで訪れたことのある人も多いと思います。しかしこの水族館がオープンする前まで浅虫には別の水族館がありました。
こちらは1971年昭和46年の映像です。この水族館は浅虫の海沿いにある東北大学の研究施設に併設されていたもので、県内外から多くの人が訪れていましたが今の県営浅虫水族館のオープンに伴って1984年に閉館しました。今もこの場所には東北大学の研究センターがあり、海の生き物の研究を続けています。おとといこの研究センターの創立百周年の記念行事が開かれ施設の見学会も行われました。
現在この研究センターでは主にホヤやウニ、クラゲなど、海の生き物の誕生や進化のメカニズムなどを探る研究を行っています。なぜここ浅虫で研究を続けるのでしょう。
★浅虫海洋生物学教育研究センター 熊野岳センター長
「東北地方のいろんな場所を調査して、ここは生物の種類が豊富だ 三陸沖はホヤが有名ですけどあそこは1種類のタイプのホヤしかいないんですけど、この陸奥湾だと3タイプのホヤがいると言われていて、それがここは生物の種類が豊富だということの例にはなると思いますけど」
この研究センターは1924年に「東北帝国大学理学部附属浅虫臨海実験所」として設立されました。「門戸開放」の大学の理念のもと、実験所の設立と同時に水族館を併設したのは地域の人たちにも海の生物に興味を持ってもらいたいという思いからでした。
1963年には植樹祭で来県された昭和天皇ご夫妻も訪問されました。設立当時、水族館は全国的にも珍しく、当時の映像には展示されている海の生き物たちを興味深くご覧になる姿が残されています。設立からことしで百年。研究センターは多くの地域貢献を果たしてきました。
★熊野岳センター長
「例えばホタテに関しましては人工的に産卵させる技術が当時、確立されていなかったんですけど そういうのを研究することで成功させたという例もありますし」
ホタテの増殖研究が実を結び青森県はホタテ産業を確立していったのです。また、クラゲの生態の研究では室内で人工的に飼育する技術を確立しその技術を応用することで全国各地の水族館でクラゲを見ることができるようになりました。この日は施設の見学も行われ参加者たちがふだん見ることの出来ない研究の様子を興味深そうに見入っていました。
★熊野岳センター長
「無制限に海水が使えるのがここの特徴」
道の駅ゆ~さ浅虫で行われた記念行事には100人以上が参加し、浅虫と研究センターの歴史をテーマにした講演会が開かれました。
★参加者
「少年のころを思い出させる懐かしい場所ですね」
「これから海洋生物とかについてもっともっと未来を見つめて研究してほしいなと思います」
「継続していくっていうことが今の人たちにもつながっていくと思うので」「今後も研究センターが続いていけば良いなと思います」
★熊野岳センター長
「この地域は海と共になりたっているそういう(海洋生物に興味のある)方が増えると地域の活性化にも繋がると思いますので中長期的にめざしていく」
研究所設立から百年。これからも地域とともに海洋研究は続いていきます。