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『起業のミカタ!親とみる高知の起業』 “空き家の活用”で起業を目指す大学生【高知】

2024年9月4日 18:32
『起業のミカタ!親とみる高知の起業』 “空き家の活用”で起業を目指す大学生【高知】
特集です。「こうちeye」では「起業のミカタ!親とみる高知の起業」と題して4回のシリーズでお伝えします。
いま高知で熱い起業について、親世代の目線で一緒に見て学んでみましょう。

香美市でオリジナルのクラフトビール「TOSACO」を製造販売する瀬戸口信弥さん。そして、須崎市のマスコットキャラクターしんじょう君の生みの親、守時健さん。この2人に共通するのが「起業」です。
実は今、高知県は「起業」する人の育成や支援に力を入れています。

「高知の起業がアツい!」みなさんは「起業」に対してどんなイメージを持っているでしょうか。

高知放送では40代から60代の「親世代」、男女329人に起業に対して「期待が大きい」か「不安が大きい」か、RKCアプリを使ってアンケ―トを行いました。その結果は、起業に対して「不安が大きい」が全体の63パーセントと6割を超えました。具体的な理由としては「先が見えない時代、不安しかない」「将来成功するかどうか」など収入面や経験値が少ないといった起業するリスクに対して大きな不安を持っていることがわかります。

起業を目指しているのは、高知工科大学経済マネジメント学群2年の山﨑光稀さん(20)と母親の希美さん。
山﨑さんは家族で海外旅行をした経験が多いことなどから英語に興味を持ち、大学では留学生のいる寮で生活し語学力を鍛えました。
また県の地域通訳案内士の資格を持っていて、観光案内通訳のボランティアを行っています。

両親が不動産業を営んでいることや、子どものころから国内外に旅行へ行った経験から、都会へのあこがれではなく、地元高知への関心が強くなったという山﨑さん。起業して取り組みたいのは「空き家の活用」。空き家を再生し、外国人観光客に日本の原風景として楽しんでもらう観光振興などで地域課題を解決したいと考えています。

県の支援を受けて起業した人は、2017年度のスタートから7年で1300人を超えていて、起業件数は累計160件以上と年々増加。県は今年度45件を目指しています。

山﨑さん親子がやってきたのは、高知市永国寺町にある県産学官民連携センター「ココプラ」です。
ここにあるKSP=「こうちスタートアップパーク」では、起業に関する相談やセミナーなどを開催し起業を目指す人を支援しています。
KSPの起業コンシェルジュの佐藤大嗣さん。起業コンシェルジュは、起業に関することなら幅広く相談できる助っ人です。

起業を目指す光稀さんは今年6月にKSPの講座に初めて参加、「起業アイデア創出ワーク」を受講しました。このほかKSPでは、起業入門セミナーの開催や事業計画の策定、起業アイデアのブラッシュアップなど起業を考え始めた人から具体的に準備を進めている人まで、段階に応じたプログラムを提供しています。

県は中高生だけでなく小学生にも「起業」に関心を持ってもらおうと、起業体験ワークショップを毎年開催しています。仮想の会社を設立し、商品企画から事業計画の策定、資金調達、生産、販売、決算までの工程を子どもたちに体験してもらい、「起業家精神」を醸成するのが狙いです。

今度は、県のプログラムに参加して実際に起業した先輩起業家に話を聞くことに。やってきたのは香美市にある「高知カンパーニュブルワリー」です。
代表の瀬戸口信弥さんは、大阪府出身。6年前からクラフトビール「TOSACO」の生産を開始し、これまでにユズやブンタンなど、県産の素材を使ったビール27種類を開発しています。去年4月には物部川沿いにクラフトビール専用の醸造所を建設。ビアスタンドをオープンさせるなど、起業家として忙しい毎日を送っています。

山﨑さんは空き家対策を観光振興につなげ、ビジネスにするため今年9月から半年間、地理的にヨーロッパの中心にあるチェコに留学しヨーロッパ経済や経営者の考えを学ぶことにしています。

起業が高知県を元気にする起爆剤となるよう、起業家の育成や支援のための取り組みが続きます。