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土佐清水消防本部で初の女性消防士!なぜ消防士を志したのか?23歳女性の素顔に迫る【高知】

2024年7月10日 15:10
土佐清水消防本部で初の女性消防士!なぜ消防士を志したのか?23歳女性の素顔に迫る【高知】
7月9日の特集は、高知県西部の土佐清水消防本部で働く女性の消防士です。
体力に自信はないと話す女性がどうして消防士になったのでしょうか?女性の素顔に迫ります。


土佐清水市の土佐清水消防本部で働く川原田茉里さん(23歳)は、去年4月に土佐清水消防に入り消防学校へ。
去年12月から消防士として働いていて、土佐清水消防本部で唯一の、そして土佐清水では過去に例のない女性消防士です。

川原田さん
「大変ですね(笑)やっぱり体力ですかね。自分だけ付いていけないときとかがあるので、それが一番大変。結構凹みます。あぁ~できない~と思って」

消防士は「危険な仕事」「体育会系」など男性をイメージする表現が一般的ですが、消防庁のまとめによりますと全国的に女性消防士は少しずつ増加傾向にあり、県内でも15か所の消防本部に22人の女性消防士がいます。それでもまだ多いとは言えない女性消防士。川原田さんは、なぜ消防士を志したのでしょうか。

川原田さん
「ホテルで働いていた時に消防の方が救命講習で来ていて。心肺蘇生法の救命講習だったが本当に人を助ける一番最初の仕事が消防なのかなと思って、すごいそれがかっこよく思って」

川原田さんは長野県出身。高校卒業後、日本の空を守る「航空自衛隊」に入隊。約3年間、埼玉県にある基地で領空内に無断で入る航空機がないかを監視する警戒管制の仕事をしていました。

川原田さん
「もともと飛行機の整備がしたくて自衛隊に入ろうと思って入ったが、希望してた職種とは別の職種になったが楽しかった」

その後、自衛隊を辞めて田舎暮らしへの憧れがあった川原田さんが選んだのが、土佐清水市。両親の転勤で小学生の時に約3年間過ごした町でした。

川原田さん
「(土佐清水は)遊ぶには最高という感じだった。海もあるし山もあるし。すごい楽しかった思い出がいっぱいある」

ホテルの従業員として働く中で消防士という職業に出会ったということです。市内全ての火事・救急・救助を担う消防の仕事。毎日の訓練は欠かせません。

川原田さんは、7月末に徳島県で開かれる消防救助技術四国地区指導会に向けた訓練を行っていて、川原田さんは「はしご登はん」と呼ばれる種目に出場します。自身を守る命綱を腰に巻き付け、高さ15メートルのはしごを駆け上るタイムを競うもので、基準タイムは24秒です。
始めた当初は思うようにタイムが出なかったということですが、先輩からのアドバイス受け基準タイムを切ることが増えているといいます。

川原田さんは高校時代は陸上部でしたが、周りの屈強な男たちと比べ体力に自信がないと話します。
一方、所属する隊の長﨑誠隊長は「心配していない」と話し、明るく前向きな姿勢を評価しています。

長﨑隊長
「非常に明るい性格で、前向きに言われたことを取り組んで考えながらやってくれている。初めての女性職員ということで、雰囲気も良く明るい職場になっていると思う」

川原田さんが1日で最も楽しみな時間が食事の時間。余裕がある日には各隊員が協力し晩御飯を作るそうで、この日は慣れた手つきでキャベツの千切りです。
食事の準備が進みますが、交通事故による119番通報が入り、すぐさま出動の準備に入ります。いつ何時もすぐに対応する消防隊の宿命です。

出動を終え、本部に戻ってきた川原田さんたち。改めて食事の準備に取り掛かります。
この日のメニューは、ニンニクのきいたから揚げ。手の空いている先輩たちとともに食事をとります。

急な出動や訓練で体力的にも大変な中で、こうした先輩たちとの食事が川原田さんの楽しみの1つです。

配属となって半年。最初は不安もあったということですが、周囲のサポートもあり、今は業務や訓練に集中できていると話します。

川原田さん
「体力もそうだが、女性が1人しかいないということで、どこに相談していいかもわからないという状況で最初は大変だったんですけど、すごい周りの方にもよくしてもらって、いろいろ相談とかも聞いてもらって、今は女性であるということに不便は感じていない」

川原田さんは、女性だからこそできる消防士像を目指しています。

川原田さん
「女性だから安心できたと言ってもらうこともあるので、自分がいることで少しでも不安を取り除けるようなことがあればうれしいなとは思う。もし自分の働いている姿を見てほかの女の子たちが、消防士って女性もなれるんだとか、かっこいいなとかって思って消防目指してくれたりすることがあれば嬉しい」

市民を守る一人前の消防士として認められるように。川原田さんはこれからも走り続けます。