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早朝から行列「道後温泉本館」5年半ぶりの全館営業再開で…受け継がれる“道後流のおもてなし”

2024年7月12日 18:05
早朝から行列「道後温泉本館」5年半ぶりの全館営業再開で…受け継がれる“道後流のおもてなし”

5年半ぶりの完全復活です。保存修理工事が行われてきた道後温泉本館が、11日全館での営業を再開しました。本館前には中継が出ています。

和氣アナ:
「湯上りに風が心地いいですね。道後温泉の本館前です。つい15分ほど前まではチェックインを終えた方でしょうか、たくさんの観光客が行列を作っていました。台湾や韓国からの方が多かったです。この大きな道後温泉の看板がある西側の入り口に入浴客の方が入っていく姿を見ると、ついにこの光景が帰ってきたんだという気がします」

道後温泉旅館協同組合によると、加盟する33の旅館・ホテルの予約は、きょうから日曜までほぼ満室ということです。たくさんの人が待ちわびた再開の‟瞬間”をウォッチングです。

清家記者:
「オープンまで30分を切りました。本館横にはすでに多くの人が並んでいます」

5年半ぶりの全館営業再開。本館前には早朝から行列が…。

千葉県から:
「初めて行くならと思って」
Qこの日のために?
「そうです。この日のために仕事休んで来た」

松山市内から:
「せっかくこのメモリアルな日に 地元にいるので第一陣で入りたいなと思って朝早く起きてきた」

と、皆さん待ちに待った再開にワクワクが止まりません。

見事一番風呂を勝ち取ったのは、きのう夜10時から並んだというこちらの2人組。

一番に並んだ大学生2人:
「松山にいる間に道後温泉が再開するという貴重な体験に出会えるのでせっかくなら1番を狙いたかった」

「待った甲斐があった」入浴客にスタッフたちも待ちわびた瞬間

午前6時。刻太鼓の音とともに続々とお客さんが館内へ…その頃2階では、スタッフが湯上がり客のおもてなしの準備に追われていました。

慣れた手つきのこちらの女性。

玉乃井里美さん:
「昔からお茶が名物なので湯上りのおいしいお茶を飲んでもらいたい。これが道後温泉の名物やから」

この道40年の玉乃井里美さんです。

玉乃井さん:
「飲み頃になってますと言ってだしたらいいからね。この暑いのにいっぺんに熱いお茶出すよりもな」

道後温泉流のおもてなしを後輩にも丁寧に伝授します。

玉乃井さん:
「もう本当人生の一部です、私。40歳過ぎから入って今まで長い間ここで働かせてもらってオープン迎えて嬉しく思う」

道後の湯を堪能したみなさん。大広間や個室でほっと一息。

湯上がり客:
「すごい気持ちよかったです。お湯がアツいのでいまでもすごいポカポカして気持ち良い」

湯上がり客:
「おいしい、サクサクしていて。お茶がぬるくていいよね、何杯でもいけそう」

東京都から:
「実は5年半前からこの日を待ってた。仕事の休みをわざわざ調整してずらしてきょうこの日に何とか。待った甲斐があった、昔を思い出した」

今回の保存修理工事で新たに誕生した‟貸し切り休憩室”、『しらさぎの間』。一番乗りになったのは…。

松山市内から:
「初めて特別室が解放されるということで一番にお客さんになりたくて(予約開始日の)夜12時からスタートだったのでスマホの前でずっと待って」

新たなスタートを切った道後温泉。再開の瞬間は沢山の笑顔であふれていました。

毎日“キッチンカー”が登場!本館周辺もお祝いムード

本館周辺はお祝いムードに包まれています。勢い良く雨が降り続く、午前10時過ぎ。

本館そばにある「坊っちゃん広場」では完全営業再開にあわせて企画されたキッチンカーイベントの準備が進められていました。

Bonny bakery 八久保有里紗 代表:
「きょうはどうしても出たい。何があっても絶対出ますと。めちゃくちゃ嬉しい。個人的に道後が大好き。ずっと(テント膜)が被せてあったのがさみしいと思っていたので。やっとオープンなのでお祝いできるのがすごい嬉しい」

出店したのは個性的な顔の形をしたパンが人気のBonny bakery。

八久保代表:
「坊っちゃん団子のパン。一番人気」

他にも、白鷺?の顔に愛媛名物のみかん、坊っちゃん・マドンナをモチーフにしたパンなど全11種類400個を用意しました。

坊っちゃん広場を運営する古湧園では、キッチンカーイベントに加えて広場内のチョコレート専門店の内装を模様替えするなど、本館の”復活効果”に乗って観光客の取り込みを狙っています。

八久保代表:
「すみません、お待たせしました」
開店客:
「全部(11種類)1個ずつで」

女性3人で千葉から:
「ホントにこれだけが(狙いで)2年前からインスタで見つけて。かわいいってなって」「朝風呂行ってきました、最高。綺麗だったし」

あれよあれよと売れていくパン。オープンからわずか50分で400個が完売しました。坊っちゃん広場には、今週末の日曜日まで、毎日、様々なキッチンカ-が登場するということです。

“変わりゆく観光スタイル” 100年後を目指す取り組み

午前中から大勢の観光客でにぎわった、道後温泉本館。

白鷺堂 小池 愛子さん:
「(本館が)閉まっていたらお客さんの入りが違うから、再開してくれるのを待ってました。期待しています」

本館の目に前にあるこちらのお店。全館での営業再開に合わせて、きょうリニューアルオープンしました。

一六本舗 玉置 剛社長:
「お客様がより買いやすいような動線を考えてリニューアルしました。(道後温泉本館の)5年半ぶりのリニューアルはたくさんの観光のお客さんも待ち望んでたことだと思うし観光を商売にしている我々にとっても本当に待ちに待ったリニューアル」

来週にはテイクアウトコーナーもオープンする予定です。

インバウンドを含め、去年の観光客数が77万6100人と、コロナ前の2019年を上回った道後。観光客を受け入れる宿泊施設にとっても、全館での営業再開は待ちに待った節目。

道後プリンスホテル 河内広志会長:
「気持ちは“感無量”。目に見えるハードが(観光の)入口になってくるのでポテンシャルとしても高いし(道後観光に)欠かせない」

その一方で、業界が直面しているのが「人手不足」の問題です。そこで…!

道後プリンスホテル 佐渡 祐収社長:
「商店街を中心にAIカメラを取り付けて人流データを把握します」

この秋、AIカメラで集めたデータを解析して、曜日や時間ごとの込み具合を把握する計画がスタート。人手不足でも、必要な時に必要な分の人手を確保することが狙いです。ほかにも、観光客の利便性や満足度の向上に向け、旅館協同組合と商店街のHPを一本化してリニューアルする予定です。

佐渡さん:
「ハード(本館)は整備されて、お客さんを受け入れる体制はできているんだけど、ソフト面でその辺が充実してないと、持続可能性がままならない。IT化、DX化の推進によってより道後全体が活性化できるようにしたい」

絣屋 石田匡暁社長:
「もうこれからです、道後はゴールじゃなくてスタート地点にもう一回立って、新しいフェーズに入ったけどまた新たなスタートが切られた」

道後商店街で土産物店を営む石田さんです。この10年で道後を訪れる人の観光スタイルが変化したと感じています。

石田さん:
「(これまでは)宿泊観光地道後、要は“道後完結型”だったのが、観光地・道後、中心市街地のホテルに泊まって、日中(道後)観光で遊んで、ナイトタイムエコノミーやそういう時間を市内で楽しむ、こういう広域どんどんお客さんが楽しんでいる」

さらなる発展へ、多様化するニーズへの対応がカギを握っていると考えた石田さん。2年ほど前から、市内の商店街の責任者と交流の場を設け、その時手に入れた情報を自身が経営する土産物店で拡散。道後から各地へ足を運んでもらう仕組みを確立しようと取り組んでいます。

石田さん:
「その時代時代に合った価値観とかライフスタイルに合わせて、仕掛け方をどんどん変えていく。道後だけの問題じゃなくて、松山全体、あるいは愛媛県全体の問題にもなってくると思うので、しっかりとオール松山オール愛媛、オール道後はもちろんですけどしっかり取り組んでいきたい」