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“道後温泉本館”全館営業再開まで1か月!「未来につなげるスタートの年に」地元ホテルや商店街店主の取り組み

2024年6月12日 18:30
“道後温泉本館”全館営業再開まで1か月!「未来につなげるスタートの年に」地元ホテルや商店街店主の取り組み

いよいよ1か月後に迫った道後温泉本館の全館での営業再開。ホテルは「新たな価値」で。3代目店主は「新名物」で。‟最古にして最先端の道後”に向けて走り出しています。

今月11日。

杉本記者:
「あ~こんな感じだったよねって思いながら、ちょっとワクワクしてる自分がいるんですけど」
松山市 道後温泉事務所 三神正裕さん:
「道後温泉事務所もあと1か月の全館営業再開、非常に心待ちにしています。順調に工事は進んでいて大きな家具などの搬入や、営業に向けた準備を進める段階まで入ってきた」

2019年1月から始まった道後温泉本館の保存修理工事もいよいよ終盤。

杉本記者:
「綺麗になってるなと思ったんですけど…」
三神さん:
「元あった状態に戻すというコンセプトで工事を進めているんですけれども、この機会にこういったオブジェ一個一個丁寧に塗り直して元の風景を楽しんでもらえるように工夫しています」

白鷺のオブジェは真っ白に。正面入口の看板も、綺麗に整えられていました。新たに設けられる“貸し切りの休憩室”は、来月11日の木曜から週末にかけて、予約がほぼ埋まってきているということです。そして再開が間近に迫った「今、この時期しか味わえない」のが…

三神さん:
「こちら東側の入口は6月17日までしか一般の人は出入りができない」

2021年7月からおよそ3年間にわたって多くのお客さんを迎え入れてきた東側の入り口。今月18日から再開までのおよそ3週間、道後温泉本館は休館になるため、まさに「今しか味わえない」楽しみなのです。

三神さん:
「工事中ならではの取り組みですので、残りあと1週間ですけど東側から入る道後温泉も楽しんでいただければと思う」

「待ち望んだ」営業再開 期待を寄せる商店街の店主たち

一方、道後商店街では…

一六茶寮 冨田秀幸リーダー:
「燕がちょうど巣を今作っている。1週間ほど前から」

本館の目の前にあるお店の軒下に、ツバメの巣が。まるで、本館の営業再開を祝福してくれているようです。

冨田さん:
「このまま商売繁盛に繋がれば。(ツバメは)縁起が良いと言われていますので」

他のお店でも…

巴堂本舗 大橋成行さん:
「ようやく待ち望んだって感じで。最近の流れとしては食べ歩きが多いので、うちとしては小分けにして皆さんにその場で楽しんでもらえるような形にしたいと思う」

およそ3000年の歴史を誇る‟日本最古の湯”が130年ぶりの化粧直しを終えようとしている今、更なる魅力アップへ、道後の関係者はエンジン全開で準備中です。

道後のホテルもニーズに合わせ進める設備改修

宝荘グループ 宮﨑光彦代表:
「この木造の建物、温泉として利用しながら残しているのが、世界的なサステナブルな潮流のある意味最先端じゃないかなと思う」

道後で3つの宿泊施設を運営する宝荘グループの宮﨑代表です。

今月中旬から始まるのが…

宮﨑さん:
「こちらをベッドルームにする予定です」
「本物の価値ある建物の再開に合わせてですね、私共宿泊施設も商品力の向上をそれに伴うような形で努力していきたいと思っていましたので、 今年度2館につきまして、更なる高付加価値の事業を行う予定」

国の補助金を活用した施設の改修です。家族連れなど団体向けのホテル椿館では、50室ある「和室」のうち、19室を「和洋室」に。

「就寝の時にはベッドで、というニーズが多いんですよね。外国人の方も布団でという方もいらっしゃるが、どうしてもベッドのニーズが多いので」

外国人や、お年寄り、体が不自由な人誰もが自分に合ったくつろぎ方ができるよう、畳とベッドの両方を取り入れた「和洋室」を増やします。

また、全室露天風呂付きの個人型旅館、道後御湯では…

宮﨑さん:
「いまコロナが明けて外に行って気分転換をして、コミュニケーションを図りたいという企業さんも、首都圏では多いんですよね」

倉庫やバックヤードとして使っていた建物を、宿泊者向けのトレーニングジムやサイクルピット、ミーティングルームに改修。年末にすべての改修工事を終える予定です。

宮﨑さん:
「新しい価値を提供し続けていくことが大事じゃないかなと。ただ単に130周年経ったとか、保存改修ができた、というのではなく、将来にいかにつなげていくかという、それをもう一度考えるスタートの年にできたらいいのかなと思いますね」

老舗土産店3代目が生み出す こだわりの“ポン菓子スイーツ”

道後商店街で県産の米を使った手作りのポン菓子を販売する「inaho」。

栗原正行代表:
「愛媛県ではポン菓子を嫁入り菓子、引き出菓子に使うという文化がありまして、 相手の幸せを思ってポン菓子を贈るという文化をぜひ大事にしたいなと思って」

創業60年の老舗お土産屋「ひめや」の3代目・栗原さんが2年前に開いたお店です。

栗原さん:
「道後温泉の改修期間中って、コロナのこともあって激動の世の中も合わさってドキドキしてたんですけど、やっと1か月って感じですね。ほんとにうれしいです」

ポン菓子を散りばめたソフトクリームや‟ポン菓子パウダー”を使ったティラミスなど…自家製のポン菓子をフルに使った「ポン菓子スイーツ」に挑戦する栗原さん。本館の再開に合わせ、とっておきの新商品を考えていました。

栗原さん:
「これが世界初、ポン菓子を練りこんだチーズケーキです!3種類のチーズとポン菓子を練りこんで、焼き上げました」

小麦粉の代わりにポン菓子パウダーを使ったチーズケーキ!

杉本記者:
「見た目だけでは、まさかポン菓子入ってると思わないですけれども…(食べて)う~んポン!美味しい、濃厚です」
栗原さん:
「小麦とか、卵とか混ぜるんですけど、それを全部省いて、 全部チーズとポン菓子で作ってるんで」
杉本記者:
「口に残るべたっとした甘さがないです。これが多分、ポン菓子、お米を使っている甘さなんだろうなというのと、最初、ん?ポン菓子?っていう違和感があるんですけど、食べてちょっと噛んでみてください。ポン菓子分かりますよ、感じますから」

栗原さん:
「道後温泉は130年前からあまり変わってないと思うんですが(本館の)周りの地域の人たちは、今に合った物を作ってきたりとか、今にあったお客様のサービスを探求して、最大限出せるものを出してると思う。僕らも昔ながらって感じじゃなくて、どんどん街並みもよくなってきてますし、人もサービスも商品もよりよくなってきてるんで、そこを最大限皆様に伝えていきたい」

道後温泉で使われる「乱れ籠」は滋賀の工芸品 職人の思いは

「未来へつなげる」。道後からおよそ400キロ離れた滋賀県からもそんな思いが届きました。

蛯谷工芸3代目 蛯谷亮太さん:
「こんにちは。初めまして」

きょう昼過ぎ、車で道後にやってきた蛯谷さん親子。その目的は…?

蛯谷さん:
「素材が全部紙なんですよ。だからこれだけ軽くて、和紙をここまで張り込んでるんでしっかりと丈夫に仕上がってるんです」

1か月後、道後温泉本館の休憩室で入浴客の浴衣などを入れるための「乱れ籠」として使われる籠を届けるためです。

蛯谷さんが手掛けるのは、工芸品の「近江一閑張」。一般的な「一閑張」で使う竹の代わりに紙ひもを使って形作るのが特徴で、隙間なく張った富山県産の色和紙に柿渋を塗って固く仕上げていきます。

蛯谷さん:
「竹とかだとささくれがあったりするんですけど、紙の上から和紙を張ってるんで、手にも優しいですし、お着物とか引っかからないように作ってるんです」

およそ50年前に祖父の金介さんが考案した技法を受け継ぎ、3代目として箸やお盆などの道具作りに励む亮太さん。「最後の納品は自分の手で」と、初めて二代目で父の豊さんと道後を訪れました。

蛯谷さん:
「お~!!すご~!歴史の重さを感じますね」

父・豊さん:
「うれしいですね、自分たちが作ったものを全国各地から来られた方に使ってもらえるというのはうれしいこと」

蛯谷さん:
「7月以降来よ、温泉入りにこよ」

蛯谷さん:
「使ってみて、いい物やというのを感じ取っていただきたいと思います。使いやすさとか軽さを感じてもらいたいです。僕で今3代目なんですけど、近江一閑張というものを4代、5代目に伝えていけるような価値あるものにしていきたいと思います」