「おどれ負けるかいうくらいじゃないと」本の主人公は99歳!エミコばあちゃんの生き方と家族をなくした孫娘とのキズナ
優しくほほ笑むおばあちゃんの絵が描かれた本。本の主人公は、今治市の島で暮らすエミ子ばあちゃんです。御年99歳、その人生と、生き方とは…
颯爽と歩く、こちらの女性。1925年、大正14年生まれの赤瀬エミ子さん(99)です!
エミ子さん:
「人間は動いていないといけない。じっとしていたらいかんわい。あっち行ったりこっち行ったり人の話も聞いたりね。歌ったりも」
畑仕事に…炊事、洗濯。時には“国際交流”も!99歳になった今でもたいていのことは一人でこなしてしまう、“スーパーおばあちゃん”です!
エミ子さん:
「なるようにしかならないから考えてもしょうがない。今日1日元気だったらいいなと思っている」
いつでも前向き。笑顔が絶えないエミ子ばあちゃん。
今年4月、その生き方とこれまでの人生をまとめた書籍が発売されました。タイトルはズバリ「エミ子 99歳」です!
1925年、造船と海運が盛んな伯方島で生まれたエミ子ばあちゃん。9人兄妹の三女として、小学生のころから船乗りだった父の手伝いに駆り出されていたといいます。
エミ子さん:
「みんなは遊んだりしていたがそれが一つもなかった。それが辛かった。行かないと言えば叩かれ連れて行かれていた。そのおかげで私は元気なんだと思う」
島の学校を卒業後、二十歳の時に結婚。4人の子宝に恵まれます。
しかし…
エミ子さん:
「長男が高等学校を出てすぐに船に乗って、海に落ちて亡くなった。それが一番辛かった」
そして47歳の時に夫に先立たれたエミ子ばあちゃん。家族を養うため、必死に働いたといいます。
エミ子さん:
「やっぱり養わないといけんかったから頑張った。子どもがおったから」
土木工事に船の掃除、そしてミカンの収穫…きつい現場でも歯を食いしばって働き続け、育てあげました。
エミ子さん:
「おどれ負けるかいうくらい。そんな気でおらんかったらやっていけなかった」
いまは生まれ育った伯方島で一人で暮らす、エミ子ばあちゃん。
近所に暮らす孫の和美さんが毎日のように訪れ、エミ子ばあちゃんと一緒の時間を過ごしています。実は本の編集や写真撮影を手掛けたのが、和美さんなんです。
内田和美さん:
「ばあちゃんの日常生活を見ていたら、淡々と畑をしたり草むしりをして家をキレイに整えて、そういう生活を見ているだけで元気をもらえる」
23歳の時、たった一人の妹、文子さんを交通事故で亡くした和美さん。その8年後には、エミ子ばあちゃんの長女で、母の千岐江さんが病死。さらに3年後には父・勝幸さんも亡くなってしまいます。
和美さん:
「私がシュンとしやすいタイプなんですけど、(エミ子ばあちゃんに)相談したらいつも「ナニクソとやらないかん」とか励ましてくれます」
独りぼっちになってしまった和美さんを励ましてくれた、エミ子ばあちゃん。以来、和美さんは実の母のようにエミ子ばあちゃんを慕い、一緒の時間を過ごすようになりました。
エミ子ばあちゃんも…
Q.人生で1番嬉しかったのは?
エミ子さん:
「嫁さんに行った。孫(和美さん)が。結婚式はうれしかった」
この日、2人が作っていたのは「巻きずし」。親戚が集まる日には必ず食べていたという、エミ子ばあちゃんの十八番料理にして、思い出の味です。
和美さん:
「これが祖母の大好きなお酢。このお酢が決めてです」
「巻きずしのネタがすごく変わっていてカニカマ、ベーコン、シーチキン。斬新でしょ、しかも焼かずにベーコン。みんな大好きな変わった巻きずし」
和子さん:
「せーの、よっ!(卵焼きをひっくり返す)ちょっと焦げたんやないん、ばあちゃん」
エミ子さん:
「うん、ちょっと焦げてもいい」
ばあちゃんから孫へと引き継がれる、思い出の味…エミ子ばあちゃんの巻きずしが、完成しました。
エミ子さん:
「ふわふわじゃわ。これええがにならんかった」
和子さん:
「今日は巻きが…」
エミ子さん:
「ハハハハ!」
和子さん:
「どう?」
エミ子さん:
「おいしい」
和美さん:
「きょうはいつもより柔らかめで巻き寿司が広がっていくハプニングがありましたけど(笑)。味は変わらずです」
エミ子さん:
「おいしかった。自分が作ったのはおいしい」
和美さん:
「例えば大きい石があって私が重たいと言っていたら、これはこうやるんじゃててこの原理で石を動かしたり知恵がすごい。常に前向き。何年か前に足の骨にヒビが入った時も這ってトイレに行っていた」
一番近くでばあちゃんの生きざまを見つめてきた和美さん。そして家族をなくした孫を見守り続ける、99歳のエミ子ばあちゃん。互いを思いやる優しい気持ちが込められた本「エミ子 99歳」。
エミ子さん:
「人間は動いていないといけない。じっとしていたらいかんわい。あっち行ったりこっち行ったり。人の話も聞いたりね。歌ったりも」