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新たに始まった子育て支援に…少子化の時代に変わりゆく高校のカタチ 愛媛のこどもたちの1年は

2023年12月15日 19:27
新たに始まった子育て支援に…少子化の時代に変わりゆく高校のカタチ 愛媛のこどもたちの1年は

子育て支援に、変わる愛媛の高校。2023年を振り返ると、愛媛の子どもたちの未来を照らす新たなカタチが見えてみました。

“紙おむつのサブスク”に“子連れ出勤” 各地で始まった新たな子育て支援

まずは、今年スタートした新たな「子育て支援」のカタチ。

4月、松山市が「紙おむつのサブスク」始めました!

利用する保護者:
「仕事をしているのですごく助かります。準備もしなくていいですし」

松山市立東雲保育園 松下知子園長:
「お子さん一人一人にかごを用意している。サブスクのお友達たちはまとめてサイズごとに入れ ています」

市が運営する保育園と認定こども園に通う子どもを対象に、希望すれば、月に2508円で何枚でもおむつを使うことができます。

四国中央市は、職員の仕事と子育ての両立を目指して、今年の夏休み、試験的に「子ども連れ出勤」を始めました!

試験導入から4か月が経過した「子ども連れ出勤制度」は、12月から制度化され、職員は、こどもの行事の振り替えなど、緊急避難的に利用できるということです。

8月には伊方町が、県内初の「保育園留学」始めました!

留学してきた園児の父親:
「保育園留学という制度を知ったのでちょっと利用してみようかなということで」

1~2週間ほどの期間で、家族で好きな地域に滞在し、留学先の保育園に通いながらその地域の暮らしを体験。滞在する宿泊施設にはインターネット環境も整っていて、リモートワークも可能です。

伊方町こども・子育て政策係 三浦彰久係長:
「ゆくゆくは伊方町に移住定住していただけるような方が増えていったらいいなと思います」

人口減少に歯止めがかからない中、自然の豊かさを最大限に生かし、子育て世帯の移住を狙います。これまでに3組が参加したということです。

母親:
「本当に貴重な体験ができてよかった」

バイヤー体験に会社経営!子どもたちが挑んだ本気の商売

続いては、子どもたちの新たな“学び”のカタチ。

食品メーカーの担当者:
「ギネスに認定されたチャーハン。ぜひこのチャーハンよろしくお願いします」

本物の食品メーカーの担当者が商品を売り込んでいるのは小学生。バイヤーの仕事を小学生に知ってもらおうという取り組みです。

大塚製薬担当者:
「おいしいを2回いただきましたので、手ごたえはばっちりでございます!」

メーカー側も真剣にプレゼンし、リアル度100%の職業体験です。

伊予市では、子どもたちが会社を設立しオリジナル商品を販売するという経営を学ぶプロジェクトが行われました。

1万円の融資を受けようと銀行役と証券取引所役の担当者にプレゼンしますが…

証券取引所役の男性:
「まず商品の作り方を、もうちょっとみんなで話し合ったり調べたりして、もう一回来てください。はい、お疲れさまでした」
子どもたち:
「ありがとうございました」

子どもたち:
「きついな」「怖い怖い…」 

商売の厳しさに直面しながら奮闘した5か月間。この会社は、商品を見事完売、資本金と融資を除いて2万円以上の黒字を達成しました。

日山凉羽さん:
「販売は難しいと分かった。目標が達成できて良かった」

高校再編で55校→45校に 「ここでしか学べない」ユニークな学びを打ち出す高校も

今年は、新たな「高校」のカタチが見えた一年でもありました。

3月、県教育委員会が県立高校の再編計画について55校から45校に再編することを最終決定しました。

その中で…

県教委:
「砥部分校は地域からの代案を評価し、前期計画5年間は統合を猶予」

当初の計画案で伊予高校との統合が示されていた松山南高校砥部分校は統合が“猶予”されました。

田所竜二教育長:
「一番大きな決め手はやっぱり民間企業ですね。民間企業とのコラボというのが代案で地域の方々から出されて、これは面白いなと思って」

砥部分校は、2025年度にゲームクリエーションコースを新設。ゲームのシステム開発やキャラクター製作などを手掛ける会社の社員が高校に常駐し、その技術を生徒に教えるという愛媛の県立高校では初の試みです。

来年4月には、サッカー元日本代表監督の岡田武史さんが学園長に就任したFC今治高校 里山校が開校します。

今治.夢スポーツ 岡田武史会長
「本当に我々がやるべきことかどうか考えたうえでこの度、一歩を踏み出すことにしました」

世界の歴史を動かすリーダーの輩出を目指すユニークな教育法に注目です。

愛媛最南端の高校では…

生徒:
「多くの人のもとに届いてもらいたいので500円以内で販売できたらいいよねという話を進めているんですが」

広島の漬物メーカーの担当者とリアルな商談をしているのは「地域振興研究部」のメンバー。高校生の立場から愛南町の魅力発信や課題解決に取り組もうと設立された部活です。

この日は、彼女たちが地元の食材を使って開発した缶詰「イワシンボル」の量産化と販売に向け企業に商品をPR。

備後漬物の担当者:
「当社としてもこういったコラボレーションはこれまでしてこなかったので、前向きに検討したい」

あれから5か月。あの日商談した漬物メーカーの協力で無事、商品化が決定。9月から南宇和高校で販売しているということです。

“ここでしか学べない”

高校が少子化の時代を生き抜くヒントが見えてきました。

愛媛で暮らす子どもや若者たちの夢は

高校生:
「小さい頃に自分も病院で入院した経験があって、自分も今度は作る側の人間になって患者さんを助けたい」

高校生:
「私が悩みを抱え込んでしまう性格だったのもあって、私にしてくれたみたいに一人一人に時間を注いで皆に寄り添える1人1人を肯定できる教師になりたい」

新人消防士:
「救える命を必ず救うということを自分の中の目標として、常に妥協せずに優しくて強い消防官でありたい」

児童:
「私の夢は、保護猫活動で。飼い主が見つからない猫を救ってあげたいからです」

児童:
「みんなを元気にしたり、みんなを笑わせられるお医者さんになりたい」

来年も、子どもたちの未来が明るい一年になりますように。