FC今治、大勝利!岡田武史会長10年目の悲願J2昇格達成か?デパート跡地に”にぎわい”も
J3リーグ、FC今治の勢いが止まらない。前週末のホームゲーム(第26節8月31日)では、奈良クラブをJリーグ昇格史上、最多得点の6得点(無失点)で粉砕。“自動昇格”圏の2位をしっかりキープした。
これで10試合負けなし。地元今治にも“いよいよ”というムードが漂ってきた。
8月24日に行われたアスルクラロ沼津(静岡)との試合では、アウェイ戦を観戦しようと、今治市のど真ん中にある広場でパブリックビューイングが開催された。集まったのは市民100人。市の中心商店街周辺に、これだけの市民が集まるのは今では珍しい。
「勝ってもらってJ2自動昇格圏にしっかり入ってもらいたい」「3-0で圧勝して欲しい」。
強い市民の願いは、全国的に地盤沈下が続く地方都市の街の中心部に『にぎわい』を生み出している。
この時点でFC今治は3位、相手のアスルクラロ沼津は2位。勝点が並んでいたので、今治が2位になるには勝利が絶対条件。
2位以上でフィニッシュすれば自動的にJ2昇格。3位以下でプレーオフにまわるのとは、まさに天国と地獄。そんな大一番を地元今治から応援したいと、この日は熱心なサポーターが約100人が集結して、遠く静岡までエールを送った。
もともと広場にはデパートがあったが、人口14万人あまりの今治市からデパートがなくなり、更地にされて多目的広場になって16年になる。FC今治のサポーターにはもうお馴染みの応援会場だ。
沼津との試合では前半、横山夢樹選手のクロスからマルクス・ヴィニシウス選手がダイビングヘッドを決めて先制。途中、同点に追いつかれたが、再び横山選手のドリブル突破でPKをゲット。これをヴィニシウス選手が冷静に決めて2-1と突き放し勝利。見事、2位再浮上を成し遂げた。
全得点に絡んだ若干18歳の横山選手は、前週末の奈良戦でも2ゴールを決めるなど、ここ数試合キレキレで無双状態だ。
「どんなシーンでもボールを貰ったら、自分の特徴を生かして勝負するようにしている」。今、チームを引っ張っているのは、間違いなくこの高卒ルーキーだ。
悲願のJ2昇格へ向けての大一番を制し、勝利のタオル回しが終わっても、100人のサポーターは名残惜しそうに広場に残っていた。
今年は岡田武史会長がFC今治にやってきて節目の10年目。
全国的に地盤沈下の著しい地方都市にあって、週末の夜、街の中心商店街周辺に、これだけの人が集まるのはプロクラブがあるからだ。Jリーグのある風景がようやく当たり前になってきた。
「いつものスタジアムと違って、広い場所でみんなでワイワイ試合を観れて楽しかったです」「(これでもう昇格は大丈夫?)いやいやまだまだ安心はできん!」。
リーグ戦は残り12試合。チーム指揮官の服部年宏監督がいうことは同じだ。
「開幕前から言ってますが、混戦がここからまだまだ続く。苦しい試合がある中で、どこまで、もがきながら進んでいくかの戦い」「"昇格"は目標として常に念頭にあるが、それよりも目の前の一試合がポイントになる」。
口にするのはまだ早いと分かってはいるけれど、それでも言わずにはいられない。
夢の扉…近づいてます!
【オピニオン室 江刺伯洋】