【リニア問題】静岡市がJR東海と対策を協議へ…難波市長 国の報告書に「課題残されている」と指摘
リニア工事に伴う南アルプスの環境保全について話し合う静岡市の協議会が開かれました。難波市長は国の報告書について「課題が残されている」などと指摘した上で、JR東海と協議を行う方針を示しました。
(静岡市 難波市長)
「生態系の問題について本格的な議論を進めたい。よろしくお願いします」
2月16日に開かれた、リニア問題に関する静岡市の協議会。リニア新幹線の静岡工区をめぐっては「大井川の水問題」「南アルプスの環境保全」「トンネル工事で出た残土置き場」の3つの課題があり、着工のめどが立っていません。
リニア工事に伴う南アルプスの環境保全について議論してきた国の有識者会議は、2023年12月、”工事を進めながら対策の見直しを行う”「順応的管理」で環境保全を図るなどとする報告書を国交省に提出。
一方、県は2019年に示したリニア問題に関する47項目の課題のうち、環境保全など未だ「30項目が未解決である」との見解を発表しました。
(静岡県 川勝知事)
「県が提出した意見書が反映されていない点も多々見受けられるので、この点については、今後、JR東海との対話を通じて、国ともしっかりすり合わせをしていきたい」
これに対し、国とJR東海は、47項目の懸念について、国の有識者会議ですでに「議論済みである」との認識を示すなど、リニア問題に対する議論の進ちょくについて、見解が分かれています。
こうした中で開かれた静岡市の協議会。その中で、難波市長は「リニア工事による高山植物への影響はない」とした国の報告書に対し「工事による地下水位の低下で高山植物に影響が出るリスクはある」などと見解を示しました。
(静岡市 難波市長)
「地下水位が下がった場合に、高山植物に影響が出る可能性はある。国の有識者会議の説明では、高山植物に地下水位の低下は影響しないと断言している。この表現は適切ではない」
加えて、報告書で示されていた「順応的管理」についても、具体的な実施方法について更なる検討が必要と指摘しました。
(静岡市 織部康宏 環境政策監)
「順応的管理の考え方は示されているが、どのように具体的な順応的管理を行うのかは示されていない。この点について、JR東海と静岡市で具体的に検討していく必要がある」
国の報告書について「課題は残されている」と指摘した静岡市。南アルプスの環境保全について、静岡市は今後、JR東海と対策を協議した上で、県での議論とは別に、市として最終的な見解をまとめる方針です。