×

【調査】伊豆半島の未来に潜む地震リスク…専門家が警告!能登半島地震から見える危険な兆候と防災対策の重要性とは(every.しずおか特集)

2024年3月15日 13:34
【調査】伊豆半島の未来に潜む地震リスク…専門家が警告!能登半島地震から見える危険な兆候と防災対策の重要性とは(every.しずおか特集)

2024年1月、最大震度7を観測した能登半島地震。この発生直後から、似たような地形の伊豆半島に警鐘を鳴らす専門家がいます。静岡大学の北村晃寿教授。地質学や古生物学が専門で、過去には、伊豆半島で津波の痕跡を探す調査もしています。

能登半島へも震災後2回にわたり調査に出かけていて、その時、輪島市の海岸で3mを超える海岸の隆起を見ました。実はこの現象、伊豆半島でも過去に繰り返し起こっていて、今後も起きる可能性を指摘しています。

(静岡大学防災総合センター長 北村晃寿教授)
「能登半島で見られる災害というのは、伊豆半島南端でも起きる可能性は低くはない」

専門家が警鐘を鳴らす、伊豆半島でも起こりうる地震による災害の危険性に迫ります。

伊豆半島にも隆起した痕跡

下田市吉佐美。ここで、過去の地震により隆起した痕跡が見られるといいます。

(静岡大学防災総合センター長 北村晃寿教授)
「過去の地震で隆起した痕跡、こういう岩場に固着した化石を見ることができます。こちらは最も新しい1729年の地震で隆起した、二枚貝の牡蠣がべったりと固着している」

約300年前に起きた地震で1mほど隆起し、海底にいた貝などの生物が海面に出てしまい、化石になったといいます。さらに・・・

(静岡大学防災総合センター長 北村晃寿教授)
「これフジツボ、一つずつ穴が開いているのがフジツボの個体、ずっと上の所まで白い部分が固着した化石になっています。このあたりだと1600年から1000年前」

この場所では、一番古いもので3000年前、その後も、この1000年間に3回と、合わせて4回、隆起した痕跡が確認できるといいます。

(静岡大学防災総合センター長 北村晃寿教授)
「1729年からもう300年たっている。そうすると、近いうちにここで地震が起きたとしても不思議ではない」

北村教授は、伊豆半島で行った調査で、こうした地盤隆起の痕跡を他の場所でも確認していて、その数は8か所になります。さらに、調査・研究などの結果から、1729年に地震を起こしたのは、陸の下で確認されている断層ではなく、下田沖海底にある活断層によるものと推測しています。

1974年の地震被害と防災の必要性

陸の下の断層でも大きな地震が発生しています。南伊豆町中木。

今から50年前の1974年に発生した、マグニチュード6.9の「伊豆半島沖地震」で大きな被害に見舞われました。この地震は石廊崎断層の活動により起きました。

(静岡大学防災総合センター長 北村晃寿教授)
「斜面にコンクリートで覆われた所がありますけども、その周辺の山が崩れて土砂がこちらの方に土砂崩れとなって家屋を押しつぶして亡くなった人がいる」

中木地区だけで27人、南伊豆町内で合計30人が犠牲となりました。

地震を体験したという方を訪ねました。港の近くで民宿を営む髙野克宏さん。地震発生当時、2歳でした。

(髙野克宏さん)
「僕の中で一番古い記憶が地震の記憶で、この家の奥にいた。揺れを感じた記憶はないが、おばあちゃんが僕を抱っこして、外に出て裏道の方へ出たら人がいっぱいいて、山側の方へ逃げた」

家に残るアルバムには当時の様子が、生々しく記録に残されていました。

北村教授は、これまでの研究から伊豆半島沖地震の揺れは、1729年の地震と同程度だったと推定しています。

一方、この地区では、東日本大震災の後、防潮堤をつくる話が持ち上がったそうですが、反対意見があり、見送られたそうです。

(髙野克宏さん)
「若い世代の人たちは防潮堤を造った方がいいと訴えたけど、僕らより上の人たちは『どうせ逃げられない』『海が見えなくなるのは困る』と反対があり、結局流れた。それから10年たって、能登半島地震がきて、自分たちは、もう1回、防潮堤を何メートルかは造ってくれた方が安心できると思っている」

そして、高台にある防災倉庫に案内してくれました。

(髙野克宏さん)
「ここだけではなく3か所あって、3日分ぐらいはある。まだこれからどんどん備蓄して、増やしていく予定」

水、食料のほか、トイレや発電機など、約200人いる住民が孤立しても生き延びられるよう準備が進められていました。

伊豆半島の海底活断層 再活動の可能性に備えて

最後に北村教授と訪れたのは伊豆半島の最南端、石廊崎です。

(静岡大学防災総合センター長 北村晃寿教授)
「下田の沖合とあそこに見える島『神子元島(みこもとじま)』という島で、その間の海底に活断層がありまして、1729年の地震は、この沖合の海底活断層の活動によるものと考えられています」

この地震から約300年、海底活断層はいつ活動してもおかしくないと繰り返し指摘します。

(静岡大学防災総合センター長 北村晃寿教授)
「地震で隆起が起きるのは、ことしの元日に起きた能登半島地震と同じ。能登半島地震の被災状況は、今後の下田市周辺の地震の防災対策に非常に役に立つ情報となります」

能登半島地震を教訓に伊豆半島も、今後の対策を見直す必要がありそうです。

(静岡第一テレビ every.しずおか 2024年3月11日放送)

  • Daiichi-TV NEWS NNN
  • 【調査】伊豆半島の未来に潜む地震リスク…専門家が警告!能登半島地震から見える危険な兆候と防災対策の重要性とは(every.しずおか特集)