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【南海トラフ地震に備えて】スマホは使える?家族の安否確認は? 災害時に通信を支える “最新技術” を紹介(every.しずおか特集)

2024年2月29日 14:26
【南海トラフ地震に備えて】スマホは使える?家族の安否確認は? 災害時に通信を支える “最新技術” を紹介(every.しずおか特集)

近い将来、高い確率で発生が予想される南海トラフ地震。さらには、毎年のように発生する台風による大雨の被害など、自然災害への不安は年々増加。

そんな中、ある調査によると、災害時に優先的に持ち出す貴重品の1位は、財布や通帳などを抑えスマホなど携帯電話という結果に!いまや私たちの生活必需品ですが、災害時に携帯電話の基地局が被害を受けて使えなくなったときに、生命線である通信をどのように復旧させるか知っていますか?

通信の大規模防災訓練に密着し、私たちの不安を少しでも早く解消するための仕組みや、最新技術に迫りました。

災害時の通信確保の重要性

地震や台風などの災害で心配なことを街で聞いてみると。

(60代女性)
「連絡手段は気になります。携帯がつながらないとか、充電器とか出ていますけど、持っていた方がいいのかなとか」
「今は掲示板とかないですし」
「簡単にっていうのもありますし、ちょっと一言でも携帯使っちゃいます」
記者)携帯電話がない環境で考えられない?
「考えられないですね」

今や、電話はもちろん、メッセージのやり取りや情報検索など、私たちの生活に必要不可欠なスマホや携帯電話。災害時にそれがもし使えなくなったら…。家族や大切な人たちと、安否の確認すらできなくなってしまいます。

東日本大震災を教訓とした“通信”の防災訓練

2011年の東日本大震災では、津波で携帯電話の基地局が流失したり、地震で通信ケーブルが切断するなどして、沿岸部を中心に通信が途絶え、固定電話は約190万回線、携帯電話・PHSは約2万9千の基地局が停止し、復旧するまでには1か月以上かかりました。

この東日本大震災の教訓を生かそうと、災害で失われた通信を迅速に復旧させるための大規模な防災訓練が陸上自衛隊なども参加して、2023年11月、愛知県で行われました。今回は、熊野灘を震源とする巨大な南海トラフ地震が起こり、静岡・愛知・三重で地震や津波による大規模な被害が発生した想定で行われました。

携帯電話が使えず、家族の安否確認すらできない状況です。これをどのように復旧させるのでしょうか?

移動基地局車やヘリが通信を支える

まずは、道路が利用でき、車両で移動することができる場合。やってきたのは見た目はトラックのような「移動基地局車」

こちらのパラボラアンテナで、衛星と通信回線を確保し、それを携帯電話用の電波に変えて、高く伸びたポールに取り付けられたアンテナから発信することで、スマホなどで通話やインターネットが利用できるようになります。

この移動基地局車は発電機も備えているため、衛星との通信が出来てこの車が行ける場所であれば、どこでも、すぐにこの一台で臨時基地局を開設することができます。

この移動基地局車は、2021年に発生した熱海の土石流災害や、2022年の台風15号により静岡県内で水害が起きた際にも、被災地域の通信確保に活躍しました。

しかし、車体サイズが大きいため、災害時には行ける場所が限られてしまいます。

そんな時は、こちらの小型ワゴンタイプの移動基地局車が活躍します。性能は限られてしまいますが、狭い道路や山間地でも、その機動性を生かして駆けつけることができます。

しかし、災害によっては車が利用できないケースもあります。そのような場合、どのように通信を復旧させるのでしょうか?

やってきたのは陸上自衛隊のヘリコプター。陸路での移動が難しい場合は、空路を使って通信の確保を行うのです。

携帯電話会社は自衛隊と協定を結んでいて、災害時には、自衛隊のヘリで携帯電話基地局を輸送します。

人の手で運ぶことができる機材で構成された「可搬衛星基地局」で、衛星と通信を行う大きなパラボラアンテナも小さく分解した状態で運びます。これならば、土砂崩れなどで車両の入れない場所でも、ヘリで機材を輸送して携帯電話の臨時基地局を開設し、通信を確保することができます。

こちらの可搬衛星基地局は、2022年の台風15号で通行止めになった川根本町へも出動し、孤立地域の通信を救済しました。

ドローンが24時間連続飛行!

さらに…災害時の通信を確保するための最新機器には「ドローン」を使ったものも。ドローンの下につけられた四角いものが携帯電話用のアンテナで、最高で上空100mの高さから、半径500mの範囲に、通信エリアを構築することができます。ドローンには陸上からケーブルがつなげられていますが、実はこれ、電源ケーブルで、地上から常に電気を供給することで、24時間連続で飛行することが可能です。

小型で、運搬も簡単なため、現場到着から1時間で運用を開始することができるフットワークの良さも特徴です。

行政と通信会社の連携がカギ

携帯電話は、いまや最も重要なインフラの一つでもあります。それを災害時でもつながるようにするためには、携帯電話会社だけでなく、行政などとの連携が重要となります。

(県 危機管理部 消防保安課 村井 浩 課長代理)
「情報共有を図るとともに、早い段階で被害情報をもらい、復旧状況を教えてもらって県民の皆様にお伝えすること。支援を継続して実施していくことで、復旧を早めていければ」 

災害時には、ふだんのように連絡が取れたり、情報収集ができるかわかりません。もしもの時に備えて家族と避難場所などを話し合っておくことも大切です。

(静岡第一テレビ every.しずおか 2023年11月28日放送)