【2024年問題】懸念されるドライバー不足…解決策として注目の輸送方法・最新技術とは(2023年12月28日放送「every.しずおか年末SP2023」)
2024年問題で心配されるドライバー不足。高速道路を使った長距離輸送を減らそうと、あらためて注目されているのが貨物列車です。
(JR貨物静岡支店 河野 慎一郎 支店長)
「貨物列車は遠距離を得意としている。最近は中距離・静岡~大阪間が増えている」
トラックに比べ、一度に大量の荷物を運ぶことができる貨物列車にシフトする企業が増えているといいます。さらに、企業同士がタッグを組んでドライバー不足を補おうとする動きも。
ビールを載せたトラックが向かったのは、即席麵の製造工場。これは、2022年からサッポロと日清食品が始めた、商品の「共同輸送」です。
トラックの上の段に即席麵のソバを、下の段にビールを積み込み、週1回、大阪まで運んでいます。同じ焼津市内に工場を持つことから実現したこの取り組み。トラックの使用台数も2割減らすことができたということです。
(サッポログループ物流 服部 隆志 さん)
「積載効率を上げることで2024年のトラックドライバーの労働時間の抑止や、CO2の排出も年間10トンほど削減できる」
さまざまな方法でドライバー不足を乗り越えようとする中、新たな解決策として注目されているのが「自動運転トラック」です。
(松原 大祐 キャスター)
「神奈川県海老名市です。あちらの建物の中で自動運転トラックの開発が行われているということで、今日はその様子や技術を確かめたいと思います」
こちらはアメリカに本社があるTu Simple JAPAN。アメリカではすでに“完全無人”で自動運転トラックの実用化に成功していて、日本でも2023年、初めて静岡県内を含む東名・新東名の270kmを、ドライバーが一度もハンドルにを触れることなく走行することに成功しました。
(松原 大祐 キャスター)
「いま見えているのが自動運転トラックですか?見た感じはよく見るトラック。所々に見慣れないパーツがありますね。あちらのパーツはなんですか」
(Tu Simple JAPAN 佐藤 大輔さん)
「ほとんどがカメラ、いろいろな方向に向いていて、8台のカメラがあります」「基本的には無人で走れるようなものとして開発していて、有人でテストを繰り返している」
ドライバー不足の解決へ、開発が進む自動運転トラック。物流の2024年問題をうけて注目される最先端の技術とは?
2024年問題をうけて注目される自動運転トラック。私たちは試験運転に同行させてもらいました。神奈川県の厚木南インターから東名に乗った後、自動運転に切り替えて新東名の清水パーキングを目指します。
(松原 大祐 キャスター)
「この瞬間から自動運転モードに入りました。切り替わったタイミングは外から見る分にはわからないですね」
時速80キロの速度を保って走行するトラック。運転手を見ると…ハンドルを握っていません。高速道路での長距離輸送に対応することができるのでしょうか。
(Tu Simple JAPAN 佐藤 大輔さん)
「前の車が遅いので抜きにかかった」
(松原 大祐 キャスター)
「車線変更しました」
周りの車との距離を測るレーダーによって、リアルタイムで周囲の状況を把握することができるといいます。しばらく走ると、山間部のカーブが多い区間に…
(Tu Simple JAPAN 佐藤 大輔さん)
「車線幅が狭くて路肩も少なくて、交通量も多くてカーブもきつい。自動運転にとっては厳しい条件」
(松原 大祐 キャスター)
「いままさに難所に来ているということなんですね」
走行中にカメラやレーダーから得る情報が車内のコンピューターに集約されます。そして、事前に収集されている道路の情報と照らし合わせることで、自動運転が可能になっているのです。
(松原 大祐 キャスター)
「右ウインカーを出しました。自動運転トラックが車線を変更して前の車を抜きました。すぐに左ウインカーが出て、もとの車線に戻りました。追い越し成功」
こちらの会社では無人運転の実用化に向けて、東京ー名古屋間で試験走行を繰り返しているといいます。この日は高速道路の大半の区間をハンドルに触れずに走行し、予定通り、清水パーキングに到着しました。
(Tu Simple JAPAN 佐藤 大輔さん)
「今の交通環境でしっかり走れるようになっている。5年以内には確実に無人運転ができると期待している」「われわれがリーダーシップをとって課題に取り組んでいきたい」
ドライバー不足を補うため、一日でも早く自動運転トラックを実用化させたいと考えています。
(Tu Simple JAPAN 小坂 暢裕 副社長)
「今まで100運べたものが人数的・時間的なことで8割になる。そこでわれわれのシステムを入れて2割を補完する」
一方、トラックに代わる輸送手段として注目されているのが、貨物専用のフェリーRORO船です。この日、清水港に集まったのは130個の巨大コンテナ。3階建ての船内に、ところ狭しとコンテナを積み込んでいきます。トラックの荷台ごと運ぶことができるため、ドライバーの負担軽減につながると期待されるRORO船。
こちらの会社では大分まで週5日運航していますが、“キャンセル待ち”が出るほど需要が高まっているといいます。
(鈴与 運輸事業推進室 福原 良太 室長)
「当社のRORO船の利用は過去10年で倍増している。長距離輸送は陸上輸送よりも一部を海上輸送することで、ドライバーの確保や2024年問題の対策につながると考えている」
トラック運転手の時間外労働が規制され、ドライバー不足が生じる2024年問題。物流業界は新たな輸送手段や最新技術で乗り越えようとしています。